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楽しさで「生計を立てる」新世代

Posted September. 30, 2008 08:29,   

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ゲームメーカー「Mゲーム」で3次元(3D)ゲーム向けキャラクター・デザインを担当する金ジュヒョン氏(25)。金氏の小学校時代の趣味は、親戚の兄が書いた落書きを真似することだった。それからは漫画を書き写し、高校時代には、新人漫画家の門下生になったりもした。

人文系高校に通ったものの、高校3年間、漫画教室に通いながら漫画を勉強し、その時、「コンピュータ・グラフィックス運用機能士」の資格も取った。漫画に打ち込んでいた金氏に、大学の卒業証書はたいした意味を持たなかった。昨年5月、Mゲームに入社した金氏の最近の気持ちは?

「自分の好きだった趣味でお金を稼ぐ仕事ができ、この上なく幸せです」

20代から30代のIP(Independent Prodecer=独立的な生産者)世代は楽しいと思えば何日でも徹夜し、熱い炎の中にも飛び込めるほどの情熱を発揮する。「楽しさと情熱(Interest&Passion)」はIP世代の特徴だ。

●楽しさで「生計を立てる」世代

ワールド・サイバーゲームズ(WCG)の「ウィーク・クラフト3」部門の国家代表であり、世界最強者でもあるチャン・ジェホ(22)選手。チャン氏は小学生の時からゲームに夢中になり、高校2年生の時、プロ・ゲーマーになった。

チャン氏は最近も、「一日20時間ほど練習している。睡眠時間がもったいないぐらいだ」と打ち明ける。国際大会が多く、外国のゲーマーらとメッセンジャーを交わすため、英語の勉強も地道にやっている。「ゲームが大好きで、いくらやっても飽きることを知らない。好きなことをしながら名誉やお金を手にしているのに、きついなんてありえないでしょう」と聞き返すチャン氏の年収は1億ウォンを上回る。

17日、ソウル麻浦区合井洞(マポグ・ハブジョンドン)のある3階建ての雑貨ビルの地下室。20代の女性たちで構成されたフュージョン国楽バンド「ファンジニ」の練習室だ。最近の歌謡曲のように元気のよい音楽が流れている。彼女らの衣装はチマ・チョゴリではあるが、きわめて華麗な上、斬新なデザインとなっている。

へグム(弦楽器の一つ)担当のペク・ジヘ氏(28)は、「『退屈な国楽』ではなく『楽しい国楽』を作るのが我々の夢だ」とした上で、「我々も楽しみながら国楽をやっている」と語った。

●IP世代は「遊ぶ人間」

12日午後6時ごろ、ソウル九老区九老洞(クログ・クロドン)の「ダンスジョア(ダンス好き)」の練習室。

秋夕(チョソク=陰暦8月15日の節句)連休(13〜15日)の前日にも関わらず、20代から30世代のサラリーマンやOL5人が、耳を劈くほどに鳴り響く、歌手ソ・インヨンの「シンデレラ」に合わせて最新のダンスを一生懸命、習っていた。

建設会社に勤めているOL、朴ジヨン氏(27・女)にダンスを習う理由を尋ねると、「楽しいから」という答えだった。

このダンス教室のチョン・ウンヒ院長は、「2000年代初頭だけでも『ダンス=ダイエット』という認識が強く、エステ目的の女性客しかいなかった」とした上で、「最近は個人の得意技を身につけるためのサラリーマンやOLが教室受講者の70%ほどを占めている」と語った。

三星(サムスン)のある役員は、「IP世代は『仕事が遊びであり、遊びが仕事』のポスト・モダニズム(Postmodernism)世代だ」とした上で、「最近、大手企業を中心に楽しい『ファン(fun)経営』が広がっているのも、これらIP世代が本格的に社会に進出してから現れた現象だ」と説明している。

全国経済人連合会が最近、主要加盟200社を対象に、「ファン経営実施の効果」についてアンケート調査を行ったところ、「よい職場を作るのに役立つ」という回答が85.8%にも上った。

「ファン経営」時代に、面白い社員はその能力を認められる。

入社3年目の銀行員、朴ホユン氏(28)は、部署の飲み会や取引先との飲み会のある日は、出社前に必ず「小道具」を用意する。カラオケで披露するかつらをはじめ、花火やスーパーマンの衣装まで用意する。最近は9人組の女性アイドル・グループ「少女時代」のヒット曲、「キッシング・ユー」を歌うため、少女時代がテレビで披露した棒アメまで買い揃えた。

朴氏は、「職場の上司らはムードを盛り上げなければならない大事な席ならば、先輩の代わりに私を必ず『連れて行く』。人を楽しませる能力は、個性派時代の強力な武器となっている」と笑った。

第一(チェイル)企画が昨年、10〜50代のライフスタイルを調査した結果、「楽しく生きるのが、自分の人生の目標だ」という項目に、「そうだ」と回答したIP世代(20、30台)の平均は75.9%で、10代(71.1%)よりも高かった。40代は69.5%、50代は61.9%に止まった。

●苔のつかない「一人で転がる石」

IP世代が、情熱を持って打ち込む基準は「楽しいか、そうでないか」という主観的かつ即興的な感情に基づいており、それによる社会的な損失も生じている。

韓国経営者総連合会が最近、全国100人以上の事業所345社を対象に、大卒新入社員の転職率を調査した結果、「入社後1年以内の退職」が27.9%にも上った。特に、中小企業は36.6%もあった。

このような早期転職は、IP世代が自ら就職難を厳しくさせることにつながり、企業の生産性向上にも否定的な影響を与えている。

IP世代の楽しさや情熱を個人の人生に止まらせず、「社会的なパイ」を増大させる方向へ集約させる道を、個人はもとより社会や国がともに模索すべき理由がそこにある。



bookum90@donga.com bsism@donga.com