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[オピニオン]企業のない「企業都市」

Posted May. 13, 2008 08:31,   

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そのほとんどが軍事保護区域として規制されていた「田舎町」京畿道坡州市(キョンギド・パジュシ)は03年初頭、LGフィリップスLCD工場の誘致に成功してから先端の産業都市として生まれ変わった。ブドウ畑だった忠清南道牙山市(チュンチョンナムド・アサンシ)の湯井(タンジョン)村は三星(サムスン)LCD工場が立地してから企業都市となった。忠清南道唐津(タンジン)村の町並みは他の田舎町と同じだが、自動車で10分ほど走ると4車線道路の沿道に並ぶ高層マンションや商店街が目に入る。04年、現代(ヒョンデ)製鉄が倒産した韓宝(ハンボ)鉄鋼を買収して立て直したことが都市全体の変貌をもたらしたのだ。企業が都市の町並みだけでなく、市民の暮らしまで変えた例である。

◆「世界一の企業都市」といわれるフィンランドのオウルは首都ヘルシンキから500キロ離れた人口13万人の小都市である。世界の携帯電話市場で最も高いシェアを誇るノキアの中央研究所がこの都市に居を構えてから、ソニー、キャノンといったグローバル企業や関連会社の立地が相次いだ。人口の半分以上の7万人がこれらの企業で働いている。オウル市の企業サポート機構の職員たちは「企業が必要とすることをかなえてあげるのが私たちの役目」と公然と話す。

◆米国のシリコンバレーや日本の豊田市も典型的な企業都市だ。スウェーデンのシスタサイエンスシティーも世界的に知られている企業都市だ。04年、李圭湟(イ・ギュファン)全国経済人連合会専務はこのような企業都市を韓国に導入してはどうか、と政府に提案した。国家間の競争が地域間・都市間の競争に拡大しているだけに、産業集積団地を設立し、次世代の成長エンジンになりうる企業都市を育成しようという話だった。全国均衡発展政策を進めていた政府はこの提案を受け入れ、05年に関連法を制定した。

◆政府が指定した企業都市候補6市のうち、着工にこぎ付けたのは泰安(テアン)だけで、忠州(チュンジュ)、原州(ウォンジュ)は実施計画が承認された段階に止まっている。企業の視点ではなく、政府の視点で進めているのが最大の問題となっている。最近、「官製の企業都市」は「企業の誘致が難しい」と訴えているが、坡州は政府の指定を受けずに企業都市となった。柳和善(ユ・ファソン)坡州市長は、他の企業都市の実績が芳しくないことについて「優良企業を誘致しようとする切実さが足りないため」と話す。全国経済人連合会は「不十分なインフラと規制が海外からの投資のハードルになっている」と指摘した。政府が主導する名ばかりの企業都市に企業は見向きもしないものだ。

洪權熹(ホン・クォンヒ)論説委員 konihong@donga.com