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[オピニオン]新聞狂ドストエフスキー

Posted April. 07, 2008 04:39,   

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書くことを職業とする専業作家が登場したのは20世紀に入ってからだ。19世紀までは、芸術を愛好する程度の「ディレッタント(dilettante)」に近かった。『罪と罰』のロシアの作家、ドストエフスキーは違った。金を稼ぐために書かなければならなかった。『ドストエフスキー、金のためにペンをとる』という文学批評書を出した高麗(コリョ)大学の石玲仲(ソク・ヨンジュン)教授(露語露文学科)は、「ドストエフスキーの文章は、民衆を教化し、神の摂理を伝える不朽の名作を残すという崇高な目的のためでなく、食べていくために、賭博の借金と前借りした原稿料を返すために誕生した」と言い切る。

◆売れる小説を書くために、ドストエフスキーが好んで読んだのが新聞だった。石教授は、新聞狂に近い彼の一面を紹介する。「記事一つ一つを貪欲に読んだ。外国滞在中には、金を無心する時のように、切実な口調で知人にロシア新聞を送ってくれと哀願した。新聞への執着も、賭博中毒のように悽絶な面があった」。ドストエフスキーの頭の中には、新聞を読まなければ読者の心を読むことができないという非常に簡単な公式が根深く埋め込まれていたのだ。

◆『罪と罰』、『白痴』、『悪霊』、『未成年』、『カラマーゾフの兄弟』のように、ドストエフスキーが残した代表作は、新聞の犯罪記事から素材とアイディアを得たものだ。世紀を超える文学的生命力は、「いま現在」に起きた最も通俗的な日常に、奥深い哲学的テーマが融合したためだと評価される。それから約200年が経ったが、ドストエフスキーが洞察した「新聞の力」はますます大きくなっている。米国の不動産王ドナルド・トランプも、「トレンドの変化を知るうえで、新聞ほどのものはない」と口癖のように言う。

◆国内に価値投資のブームを起こした韓国バリュー資産運用の李埰源(イ・チェウォン)副社長も、新聞を読むことで1日を始める。新聞は、現在と未来のトレンドの中で、価値ある企業を発掘する目を養ってくれるためだ。情報化時代には、知識が金でありビジネスだ。先進国が学校に新聞を無料で供給し、新聞活用教育を義務づけるのも、新成長産業を見る未来世代のアイディアを育て、経済に活力を吹き込むためだ。今日は52回目の新聞の日だ。新聞は世の中を見る窓である。

許文明(ホ・ムンミョン)論説委員 angelhuh@donga.com