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[オピニオン]数学ルネッサンス

Posted March. 24, 2008 03:16,   

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イスラエルで警備員として働くアブラハム・トラフトマン(63)という人が最近、数学の難題の一つを解決したという。誰もが現在の位置とは関係なく、目的地への案内ができるという「2通りの移動経路の設定問題(Road coloring Problem)」を1年間で解いたという。この問題は、40年間あまり、世界最高の数学者100人あまりが解決のために全力を傾けてきたが、解決できなかった難題中の難題だ。トラフトマンは、元ロシアの数学者で16年前に移民にきたが、働き口が見つからず、エルサレムで警備員として働いてきたという。

◆日本で人気コメディアン兼映画監督の北野武(61)が、日本数学会から特別功労賞を受賞する。テレビの数学クイズショーの司会を務めながら、「問題と取り組んで知恵を絞る姿を通じて、数学の魅力や美しさ、楽しさを広く紹介してきた」というのが受賞理由だ。数学大衆化の生き生きとした事例だ。情報通信分野と金融手法の発展などで、数学は少数の英才たちでなくても、だれもが夢中になれる領域と変わりつつあるという証拠だ。

◆インターネット情報セキュリティの核心暗号技術は、数学なしでは不可能だ。コンピュータグラフィックやアニメーションも、数学理論の応用が欠かせない。為替や金利、株価などの金融市場の変動を分析・予測することにも、数学者たちの貢献によるものが大きい。生命工学や気象予測、航空機設計、衛星写真の伝送、携帯音楽プレーヤー、インターネットの動画、高画質テレビ、スマートカード(交通料金の決済)のような領域も、数学なしでは想像もできない。社会科学の研究も数学なしでは不可能なものだ。

◆全身麻痺の状態でも研究に打ち込んでいるソウル大学の李尚默(イ・サンムク、地球環境科学部)教授も、数学の恩恵を多大にこうむっている。彼が頼りにしている数十種類の障害者支援装備やソフトも、数学なしではそもそも開発できないものだった。韓国の「スティーブン・ホーキング」と呼ばれる同氏は、「私を蘇らせたのは幹細胞ではなく、情報技術(IT)装備」と語った。マイクロソフトのビル・ゲイツ会長も最近、米議会での演説で、米教育の競争力強化のための数学の重要性を強調した。ところが、「(ソウル大学)理工系の新入生5人中1人は、正規のカリキュラムを開始する前に、数学の補足授業が必要だ」(吳世正ソウル大学教授)というのが我々の現状だ。「数学のルネッサンス」が切に求められる。

許文明(ホ・ムンミョン)論説委員 angelhuh@donga.com