Go to contents

[オピニオン]アグフレーション

Posted February. 26, 2008 03:21,   

한국어

「アグフレーションの『アグ』とは、卵の『エッグ(egg)』を意味することでしょう?」。意をつく発言で有名な孫石熙(ソン・ソクヒ)誠信(ソンシン)女子大学教授が先週、MBCの「孫石熙の視線集中」でミスを犯してしまった。農産物などの食べ物価格の高騰についての意見を交わしながら、アグフレーション(agflation)を説明するときの出来事だった。アグフレーションとは、農業を意味するアグリカルチャ(agriculture)とインフレーション(inflation)の合成語で、農業発のインフレを意味する新造語だ。

◆アグフレーションの原因は、供給に比べて需要が増えたためだ。人口の増加も一因だが、発展途上国の国民が所得が増えると、かつては食べなかった食品を食べ始めたためだ。中国人はもともと、牧畜をするモンゴル族などの一部の少数民族を除いては牛乳を飲まなかった。しかし最近、13億人の人口が牛乳に味をしめて消費が急増し、中国は世界の牛乳の「ブラックホール」となっている。原材料の費用でもっとも大きな割合を占めている牛乳価格は昨年、史上最高水準に上昇した。

◆農産物がエネルギー源として使われる傾向も、アグフレーションをあおっている。米国が石油への依存度を減らすため、代替エネルギーとしてバイオ燃料の開発や生産に乗り出し、原料のトウモロコシの価格が高騰したのだ。トウモロコシの栽培地が増えると、小麦の栽培地が減り、小麦粉の価格も高騰している。「車が人の食べ物を奪う」ありさまだ。韓国は穀物の自給率がわずか28%だ。昨日発足した李明博(イ・ミョンバク)政府の経済政策への期待として、経済成長より物価の安定をあげた人がより多いぐらいだ。

◆国際トウモロコシ価格の高騰に耐え切れず、国内の各食品メーカーでは5月から菓子や飲料水、アイスクリーム類などに使われるでんぷんの原料として、遺伝子組み替え農産物(GMO)のトウモロコシを使うことを決めた。トウモロコシの価格が高騰しすぎて、非GMOでは採算が取れないためだ。GMOは米国では幅広く使われているが、安全性への議論のため、国内では消費者から敬遠されている。しかし、物価安定への要求が激しく、安全性への議論は下火となっている。あれだけ頑丈だったGMOのカギを、アグフレーションが開けている。

鄭星姫(チョン・ソンヒ)論説委員 shchung@donga.com