「ワンちゃん」たちが来月、集団で南北休戦ラインを越える。トラックに載せられた約100匹の犬は、陸路で北へ行き、金鋼山(クムガンサン)付近で開かれる犬そり大会に参加する予定。北朝鮮で犬そり大会が開かれるのは今回が初めて。
1998年、故鄭周永(チョン・ジュヨン)現代(ヒョンデ)グループ会長が、牛1001頭を率いて軍事境界線を越えてから、10年ぶりに動物の「集団訪朝」が実を結んだもの。
●北朝鮮では名前もなじみのない「犬そり」
今回の行事は、大韓ドッグスポーツ連盟(www.kfss.or.kr)が、現代峨山(アサン)を通じて北朝鮮側の名勝地総合開発指導局から許可を受け実現した。ドッグスポーツ連盟が05年9月に初めて提案して以来、2年5ヵ月かけて大会が開かれる運びとなった。
連盟の金テリョン会長は、「海外旅行にも犬を連れていけるのに、北朝鮮だけは犬の立ち入りが禁じられていた」と話し、事業推進の背景を説明した。
しかし、北側を納得させるのは容易でなかった。北朝鮮には「ペット」という概念が薄く、犬を主に食用として「家畜」の一種と見ているからだ。
金会長は、「『そんなことをなぜやるのか』という質問から『食べ物で遊んではいけない』という反応まであった」とし、推進過程での苦労を吐露した。北側を粘り強く説得し、結局、検疫を通過すれば北朝鮮入りを許可するという通知書が、昨年1月に届いた。内容は「狂犬病ワクチンと犬ペスト予防薬(伝染病予防)接種を実施すること」など。
●金鋼山海水浴場近辺で
今回、約40人の選手と約100匹の犬が北朝鮮入りする。犬はほとんど、犬そり専門のシベリアンハスキーで、イベント競技に参加する珍島(チンド)犬と豊山(プンサン)犬が2匹ずつ含まれている。
犬たちが休戦ラインを越える時刻は2月16日午前。南側の獣医の検疫を受けた後、「ケンネル(移動用犬小屋)」に入れられ、5トントラック1台に載せられて休戦ラインを越える。北側は別途の検疫はせず、南側の検疫通過書を確認する程度で検疫手続きを終える予定だ。
大会は16日の午後と夕方の2回、金鋼山海水浴場そばの道路で行われるが、雪が降らなかった場合に備え、そりにつける車輪も用意した。
金会長は「雪の積もった野原と山で実施される犬そりは、北朝鮮のほうが条件の合うスポーツだ」と話し、「次は白頭山(ペクトゥサン)で大会を行いたい」と話す。
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