Go to contents

「NLLを譲歩すれば、西海5度はない」

「NLLを譲歩すれば、西海5度はない」

Posted October. 23, 2007 07:29,   

한국어

1970年代初め、北朝鮮がソ連からスティクス艦対艦ミサイルを導入し、高速艇に搭載した。韓国海軍は、在来式艦砲に依存していた時期だった。

休戦以来、初めて海上戦力の優位を確保した北朝鮮海軍は、ただちに攻勢的な作戦に切り替えた。20年間、双方が海上境界線として守ってきた北方限界線(NLL)の無效を宣言し、西海(ソヘ=黄海)5度の航路を遮断した。いわゆる「西海5度封鎖事件」(1973年)だ。

白翎島(ペンリョンド)に向かう航路が断ち切られ、ついに軍需物資と生活必需品を輸送機で空輸する事態が発生した。武装と速度で劣勢の韓国艦艇は、敵のミサイル射程距離内に入ることもできなかった。結局、全面戦争を覚悟した果敢な護送作戦と軍事休戦委員会を通じて、事態は収拾された。その後、フランスと米国から艦対艦ミサイルを緊急導入し、海上優勢を回復するのに2年近い時間がかかった。

韓国戦争当時、北朝鮮は38度以南の開城(ケソン)、延安(ヨナン)、壅津(ウンジン)半島を結ぶラインを占領した状態で、休戦協定を結ぶことに成功した。同地域は、韓国の首都圏を直接圧迫する攻撃の足場となるだけでなく、北朝鮮の海軍力を38度以南に前進配置できる軍事要衝地だった。しかし、制海権がない状態で西海5度を占領することは不可能であり、その結果、北朝鮮の軍事的利点は制限を受けざるをえなかった。

壅津半島と海州(ヘジュ)湾の入口を三日月模様に取り囲む西海5度は、北朝鮮海軍の作戦活動はもとより、黄海半島一帯の空軍活動までリアルタイムに警報できる地理的利点を提供している。特に、壅津半島南端の艦隊基地と延安に配置された海岸砲、地対艦ミサイル基地は、ほとんど可視距離内で監視を受けざるをえない。これは、開戦初期、首都圏の西方に大規模上陸作戦と低空浸透を計画している北朝鮮軍にとって、初期に奇襲を達成させる決定的な障害要因になっている。

この数十年間、同地域一帯で多くの軍事的危機を繰り返し、緊張した対峙を続けてきた理由がまさにここにある。

90年代末、北朝鮮に友好的な政権が発足すると、北朝鮮軍部は機会を逃さず、攻勢を再開した。武装艦艇でNLLを侵犯し、衝突を誘発する一方、新たな海上分界線を主張した。その過程で発生したのが延坪(ヨンピョン)海戦であり、その時要求した分界線が、漢江(ハンガン)河口から仁川(インチョン)沖の徳積島(トクチョクト)をつなぐラインだった。

そのような中、実に奇妙な話が出始めた。北朝鮮艦艇がNLLを侵犯するのは、ワタリガニ漁場の確保に目的があるので、経済協力の次元で検討する必要があるという主張だった。01年、北朝鮮商船が済州(チェジュ)海峡を侵犯した時、それは北朝鮮の石油事情の悪化が原因なので、済州海峡を開くべきだという主張と完全に脈をともにする論理だった。

武力挑発に対する国民の怒りを和らげ、NLL事態の軍事的性格を経済的懸案にすりかえる顔のない親北朝鮮勢力たちの陰謀だった。

北朝鮮軍がNLLを侵犯して、ワタリガニを口にしたことは一度もない。北朝鮮も、NLLの北方に統制ラインを設定し、民間漁船の接近を徹底的に統制している。年間2000トン、金額で100億ウォン規模(06年基準)のワタリガニの漁場が欲しくて、命をかけてNLLを侵犯するほど愚かで無謀な集団でもない。

NLLは、西海5度と壅津半島の間、砲兵射程距離内にある狭い海峡を両分する軍事分界線だ。このため、NLLの1次的機能は、西海5道の防護だ。もし、北朝鮮の要求を受け入れるなら、西海5度は、北朝鮮の領海に浮かぶ小さい孤島になってしまうだろう。武力侵攻にあっても、防御する術がない。

北朝鮮軍部にとっては、NLLは、そのものが目的ではなく、一つの手段であり過程だ。ひとまず、NLL問題が思いどおりに妥結すれば、次の段階で北朝鮮の領海内に入っている西海5度上の軍事基地撤収を要求するだろう。そして、窮極的にこの軍事的要旨を手に入れる次の計画を講じるだろう。

その時になれば、韓国側の親北朝鮮勢力はまた特有の話法を使って、「他人の家の庭に監視警戒所を作って、どうやって和解協力が語れるのか」「憲法上、韓半島全体は韓国領土だ。西海5度をどちらが管轄しようが、それが大きな問題か」と騒ぎ出すかもしれない。しかし、そのような言葉のまやかしには明らかな限界がある。

NLL問題に接近する時は、何よりも西海5度に住む韓国国民の安全と将来に対する真摯な洞察が先行しなければならない。そして有事の際、首都圏西方の防護と戦争抑制機能に対する綿密な検討が実現しなければならない。それは本質的に安保懸案であり、軍事専門家の領域だ。



ysh1005@donga.com