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[社説]首脳会談の興行ために北朝鮮の「喜び組」になるか

[社説]首脳会談の興行ために北朝鮮の「喜び組」になるか

Posted September. 29, 2007 03:43,   

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盧武鉉(ノ・ムヒョン)政府の南北首脳会談の準備作業は常軌を逸している。北朝鮮に与える贈り物の包みは大きくなり、譲歩リストはますます増えるばかりだ。大統領は、北朝鮮の体制宣伝劇であるアリランの観賞を決定し、大統領府は国内の親北朝鮮サイトのアクセス制限解除まで検討した。実質的な任期が3ヵ月も残っていない大統領が、成果も疑わしい1回の会談のために国の基盤を揺さぶっているという印象をぬぐえない。

連日あふれ出る北朝鮮支援策に、国民はめまいがするほどだ。新義州(シンウィジュ)特区共同開発、第2の開城(ケソン)工業団地の推進、南北投資庁の新設、平壌(ピョンヤン)近隣の情報技術公団の新設など、枚挙にいとまがない。「北朝鮮への提案を含む会談の議題は、事前に公開しない」という大統領府側の説明にもかかわらず、多くが、当局者の口からもれ出たものだ。首脳会談の「興行」のために政府が巧みにもらしている格好だ。

白鍾天(ペク・ジョンチョン)大統領府安保室長は、「開城工団のようなものをいくつか提案できる」という発言で、特区開発提案を既成事実化した。北朝鮮支援には、天文学的な予算が必要となる。国民の同意もなく大統領が拙速に決定する事案ではない。そのうえ盧政権は、国家財政をひどく悪化させた政権だ。そのような政権が、北朝鮮に少なく見積もっても数兆ウォンにのぼる「約束手形」を発行するというのだ。金正日(キム・ジョンイル)総書記の歓心を買うためなら、国民の苦しみなど知らん顔という発想ではないか。

盧大統領のアリラン鑑賞は、いかなる理由があっても正当化できない。アリランは、北朝鮮住民約6万人が動員され、カードセクションとマスゲームを繰り広げる集団体操劇であり、金日成(キム・イルソン)、金正日体制を称揚し、宣伝する内容一色だ。北朝鮮が、韓国の立場を考慮して、内容の一部を修正すると言っても、基本骨格は変わらないだろう。

労働新聞は最近、「アリランには、金総書記の統一意志が盛り込まれている」と強調した。「統一意志」とは、すなわち赤化意志のことだ。韓国の大統領がこれを鑑賞することを、一時の余興程度とみなすことができない理由である。

アリランを見て拍手する盧大統領の姿が、北朝鮮に長々と広報のネタとして利用される可能性も濃厚だ。アリランは、幼い子どもたちを動員し、長期間酷使することで、児童虐待と人権侵害の論議を生んで久しい。児童の労働力を搾取して作ったものは、サッカーボールひとつでも購入しないのが、国際社会の人権意識であり慣例である。まして幼い子どもたちが立ったままで用を足し、演出する狂気の集団劇は、再論する余地すらない。人権じゅうりんを指摘しないだけでなく、幇助するつもりだろうか。

首脳会談を控え、親北朝鮮サイトのアクセス制限の解除を検討したことは、大統領府が金総書記の「喜び組」になることを自ら要望したも同然である。北朝鮮の対南中傷宣伝機構である「反帝民族民主前線」を含む問題の42のサイトは、北朝鮮の主義主張と対南革命戦略戦術、主体思想と先軍政治を伝えるもので、政府が自ら遮断したものだ。情報通信部も29日午前0時から、親北朝鮮の掲示物を削除するよう命令した。にもかかわらず大統領府は、最高検察庁、国家情報院、警察庁の遮断解除不可の立場を無視し、開放を検討した。権力の核心部内に「反政府勢力」なくして、どうやってこのようなことが可能だろうか。

非武装地帯(DMZ)問題と一括りにして西海(ソヘ=黄海)北方限界線(NLL)問題を論議しようとする政府の方針も受け入れることはできない。海上境界線であるNLLの再設定問題を論議するには、国民の合意が先行しなければならない。一歩過って踏み出せば、北朝鮮に口実を与える恐れがある。仁川市甕津郡(インチョンシ・オンジングン)が、住民の意思を集めて、「NLLは絶対に死守しなければならない生存ラインだ」と言い、NLL再設定論議に反対する意見を政府に伝えたほどである。

盧大統領と大統領府は、もう少し冷静にならなければならない。分断解消の努力は必要だが、首脳会談1回で、一瞬にして平和が訪れ、統一が実現するのではない。北朝鮮との首脳会談が、通常の国家との首脳会談と異なるわけではない。世界13位の経済大国である大韓民国の大統領として、すべてに堂々としていなければならない。会談興行のためなら、体面も国家アイデンティティもすべて投げ出すような姿勢では、金総書記に振り回され、会談の成果も期待できないことを認識すべきである。