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[オピニオン]鈍感才能

Posted September. 27, 2007 03:07,   

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名医師として有名な日本のある大学病院の医師は、教え子たちに非常に厳しくてやかましかった。教え子たちは、「手が遅い」「わき見をする」と厳しくなじる師匠の前でまず気後れした。しかし、一人の教え子だけは違っていた。ただ、「はい、はい」と上の空で答えながら、その代わり、実力をつけることだけに集中した。後日、彼は師匠の手術のノウハウを丸ごと伝授された唯一の弟子となった。日本の作家であり医師の渡辺淳一は、新刊本の「鈍感力」で、このような「賢い鈍感」を称えた。

◆一般的には鋭敏さが好まれるが、実の生活では鈍感さがより使い物になるというのが、この本のメッセージだ。「感情や感覚が鈍い」という意味の鈍感さは短所ではなく「力」だというわけだ。寝床が変わっても、いびきまでかきながらよく寝る人、悪いことはすぐ忘れ、上司の叱責や配偶者の小言は聞き流す人…。このようなタイプが「鈍感才能」の持ち主だ。これは「怠慢」とは異なる。自分のエネルギーを周辺の人や環境のような「外部」に向かって使うより、「内部」に集中して自分の能力を極大化せよという注文だ。

◆鈍感力は健康にも役立つ。気分を害する言葉を聞いても、感情の変化の少ない人の血管は、常に拡張されていて、血行がいいという。腸が鈍感になれば、少し腐った物を食べても、腹をこわすことはあまりない。視覚や聴覚が鋭すぎれば、老化が早いという学説もある。致命的なガンも、心に余裕を持てば、治癒の確立も高まる。

◆配偶者や同僚など、人間関係で完璧さを追い求めれば、相互の負担が増し、ガラス瓶のように壊れやすい。年老いた夫婦の睦まじさも、鈍感力のその秘訣があると、著者は主張する。相手に鈍感になれば、逆に寛大さが生じるためだ。「無心の力」を強調した本である「鈍感力」は、日本では今年上半期だけでも、100万部が売れるほど人気が高い。外部のにらみつけのまなざしやからかい、皮肉に一つ一つ反応するより、自分なりの中心を持って、忍耐強く生きなさいというアドバイスが、すでに私にも力となっている。

許文明(ホ・ムンミョン)論説委員 angelhuh@donga.com