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「牛肉—自動車が韓米FTAを座礁させる恐れも」

「牛肉—自動車が韓米FTAを座礁させる恐れも」

Posted September. 18, 2007 03:18,   

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「あの日以来、私の人生に悪い日はなかった(I haven′t had a bad day since)」

チャールズ・ランゲル米下院歳入委員会委員長は、この言葉をよく口にする。今年4月に出版された自叙伝のタイトルでもある。ここで「あの日」とは、韓国戦争に参戦し、中共軍に包囲されて生死の岐路に立たされた1950年11月30日を意味する。

韓国戦争参戦勇士のランゲル委員長は、米議会で代表的な親韓派政治家の一人だ。13日、東亜(トンア)日報とのインタビューでも、韓国語で「カムサハムニダ」を連発し、終始、韓国への深い愛情を示した。

しかし、核心テーマの韓米自由貿易協定(FTA)に対してだけは、口調が違った。硬くて事務的だった。

4月のFTA妥結以後、両国のマスコミと貿易関係者たちは、FTA議会批准の鍵を握るランゲル委員長の発言に注目してきたが、ほとんど口を開かなかった。その彼が打ち明けた韓米FTAへの見解は、かなり強硬で否定的だった。

ただ「ランゲル委員長は、根本的に韓米FTAを支持するだろう」という世間の期待のように、否定的な見解の行間に「条件節」を付けた。

——韓米FTAを支持するか?

「FTAは、両国国民、すなわち議会の承認を受けなければならないが、両国政府が署名(6月30日)した協定には、肯定的、否定的な内容がすべて含まれている。米国の金融、保険産業には大きなプラスになるだろう。しかし、それを相殺するマイナス面がある。特に、牛肉と自動車貿易が問題だ。米国の牛肉産業の州関係者たちは、FTAを通じて公正な貿易関係が行われるとは信じていない。このため、これら地域の議員たちは、韓米FTAを支持しない。自動車貿易も然りだ。韓国は、自動車貿易で常に保護貿易的だった。米国に対してだけではない。おそらく常識的に誰もが認めるだろう。むろん、米国の自動車産業にも問題があるが、米国では毎年70万台の韓国自動車が売れている一方、韓国で売れる米国車は5000台にも及ばないのが現実ではないか。関係議員たちは、絶対に韓米FTAを支持しないだろう。そのため、今議会には韓米FTAが可決されるだけの賛成票がない。米政府も、議会に韓米FTAを通過するよう要請すらできない。彼らは具体的な内容について、まだ作業中だ」

——自動車問題が韓米FTAを座礁させる恐れがあるほど重要なのか。

「自動車と牛肉問題が、ともにディール・ブレーカー(deal breaker:取り引きを壊す要因)になる可能性がある」

——韓米両国は、追加の再交渉はないと公言した。韓国政府が何をどうすべきだというのか。

「(具体的にすべき措置は)私もわからない。ただ、米議員たちに両国の貿易が公正に行われると確信させなければならない。もっと多くの牛肉と自動車が(韓国に)入って、米国車が韓国車のような条件で競争できるようにする必要がある。米国が損をしないことを明確にしなければならない。これは、韓国国民にも同じだ。韓国でも、すべての人がFTAを支持するわけではないのではないか。交渉代表だけが合意すればいいのではなく、両国民も同意できるようにしなければならない」

——韓米両国は、ランゲル委員長が主導して作成した「新貿易政策(New Trade Policy)」によって再交渉を行い、6月末にFTA合意内容を部分修正した。米議会では、ペルー、パナマ、コロンビア、韓国の4つのFTAが審議中だが、韓米FTAはいつ処理する考えか。

「ペルーFTAは、今月までに批准されると確信する。パナマFTAも通過を確信するが、パナマ議会の議長選出問題(米軍殺害容疑手配者が議長に選出される予定)で論議が起こっており、見守らなければならない。コロンビアはもっと複雑だが、米議員が近く訪問する予定であり、障害が除去されるものと期待している。韓米両国(政府)は、まだ交渉している。そのため、(現在進行中の)交渉を通じて、韓米FTAを議会で処理できるという信号が出ることを望んでいる。米通商代表部(USTR)は、協定を改善するために努力している」

これに対して、韓国政府当局者は15日、「自動車と関連して、米議会が米政府に韓国と追加交渉せよと強い圧力をかけているが、現在両国間には、自動車と関連して追加交渉は行われておらず、今後も同じだ」と明らかにした。

——来年2月になれば、米国の大統領選党内選挙が始まるので、韓米FTA批准が次期政府に送られるという憂慮もある。米政府が批准同意案を提出する適切な時期はいつか。

「明確に言うが、政府は十分な票を確保したと信じられる前に、絶対に批准同意案を持ち込まないだろう。大統領選挙やいかなる政治日程とも関係はない。表決で失敗するのが明白なら、絶対に議会に持ち込まない。彼らは現在の票の分布が知っている。そのため、議会に提出する時期は、牛肉と自動車問題が除去された時だ。今存在しない賛成票を得る時が、韓米FTAが議会に持ち込まれる時だ」

——韓国戦争参戦が人生に及ぼした影響はどれほどか。

「死にあれほど近付いた人がどれほどいるだろうか。生き残っても、あの状況は悪夢になって残る。中共軍数万、数十万人が、仲間を殺し、銃を向けている。一瞬にして止まるのではなく、果てしなく押し寄せ、取り囲む。最も残酷な悪夢だ。神に祈った。『生かしてくださるなら、これからはどんなことにも不平を言わない』と。それが二十歳の時のことだ。あの時あの日よりも悪い瞬間は想像できない。私は、あの時、私の隣にいた多くの人々が生きることができず、私も到底生きることができないと思っていた日々を生きている」

当時ランゲル委員長は、乗っていた弾薬輸送車が中共軍の砲弾を受けて、くぼみに落ちた。彼は、「死んだふりをしたが、心臓の音で見つかるかと恐怖に震えた」と話した。

——韓国では、米軍の参戦を非難する声がある。

「米国と国際社会が参戦したことについて批判的な人々に、北朝鮮を訪問してみることを勧めたい。そこがどんな状況なのか、もっと多くを知れば理解するだろう。1950年7月、国連軍が到着した当時、北朝鮮は韓国領土の95%を占領した状態だった。私が属した歩兵2師団は、釜山(プサン)に上陸できるかどうかも確信できなかった。若い人々が米国に対して憤ることは簡単だが、彼らに聞きたい。『もし国連軍がすぐに助けに行かなければ、今より良い状況で暮せているだろうか』と」



sechepa@donga.com srkim@donga.com