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[オピニオン]世俗主義

Posted August. 29, 2007 07:22,   

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最近、書店街では『作られた神(The God Delusion)』の嵐が吹き荒れている。著者は20年以上も前に『利己的な遺伝子』を書き、進化生物学界に激しい議論を起こした英オックスフォード大のリチャード・ドーキンス教授。難解な内容に加え600ページを超える分量だが、発売から1ヵ月で4万3000部が売れ、人文学部門でトップに立った。人文書籍は7000部でもベストセラー扱いになる。1993年の『私の文化遺産見聞記』(ユ・ホンジュン)以来、人文書籍最大の突風だ。英語圏でももちろんベストセラーだ。

◆『作られた神』では、宗教がなければ9.11テロやイラク戦争、十字軍、魔女狩り、インドの分割、ユダヤ人の虐殺、女性の割礼もなかっただろうと主張する。無神論や世俗主義のもとで、聖域として扱われてきた宗教に、直撃弾を投げかけたものだ。世俗主義では、人間の合理性を信頼し、政治や経済、社会などすべての分野における宗教の干渉を排除する。社会構成員の問題は、宗教ではなく国が解決すべきだと信じる。政教分離の歴史は、人類の文明史と一致する。

◆最近、トルコでもイスラム寄りのアブドラ・ギル外務長官の大統領当選が確実となり、世俗主義論争が激化している。ギルの夫人がヒジャブを注文すると、官公庁や学校でのヒジャブの着用を法律で禁じているトルコは衝撃を受けたもようだ。野党や軍部、法曹界では、政治のイスラム回帰の兆しに激しく反発している。ギルも「憲法が定めた世俗主義の原則を尊重する」と、一歩後退している。

◆第1次世界大戦の戦勝国からトルコの領土を守った後、トルコ共和国を立てたムスタファ・ケマルは、国父の称号を受けるなど、国民の絶対的な尊敬を受けている。国民の99%がムスリムだが、宗教国家に未来はないと考えた彼は、カリフやスルタン制度を廃止し、政教分離を憲法に刻み込んだ。トルコを、イスラム圏唯一の西欧式の現代国家に変えたわけだ。それにしても、世俗主義に反対するイスラム原理主義集団タリバンは、アフガニスタンの韓国人の人質をいつ解放するのだろうか。

虛承虎(ホ・スンホ)論説委員 tigera@donga.com