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[オピニオン]ミスママと進化

Posted August. 20, 2007 03:02,   

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炭水化物は甘く、脂肪は香ばしい。たんぱく質には風味がある。塩辛いナトリウムは、体内のエネルギー代謝には欠かせない。生物学者たちは人を含めた動物が生存するためには、このような味に執着するように進化せざるを得ないと説明する。やけどや怪我を恐れるのも、それが生存や繁殖のためには必ず、避けて通れなければならない危険だからだ。

◆このような本能を遺伝子に刻み込めない動物は種族の維持に失敗する。いっぽう、遺伝子に一度刻み込まれれば、それが必ずしも有利でない結果をもたらしても、そのまま働く。鳥たちは、「君の巣で鳴いている小さな生き物があれば、その赤いくちばしの中にえさを入れよ」という遺伝子の指示に従う。しかし、これはたまにとんでもない結果をもたらす。ヒバリやモズは、巣のなかのカッコウの卵を抱いて、自分の雛を皆殺しにしたりすることもある。

◆人間も「進化のミス」から自由ではない。600万年以上、食糧不足にさいなまれてきたわれわれの先祖たちは、機会さえあれば十分に食べ、栄養分を体に蓄えるように進化した。栄養過剰に備える必要など、まったくなかった。しかし、階級分化が進み、一部の支配層が肥満の兆しを見せ始め、現代社会に入っては、肥満が社会的な病気となった。進化生物学者たちは、われわれに過剰栄養の摂取を予防する遺伝子がないのは、進化のスピードが生活環境の急激な変化に追いつけない「進化の遅れ」と見ている

◆進化的なミスがすべて悪いのではない。性欲の進化的な目的は繁殖にあるにもかかわらず、人々は子どもを生めないセックスをしばしばする。赤ちゃんに対する愛や関心はおそらく遺伝子の伝達に必要から生じた本能なのに、たびたび自分とは遺伝的に何の関係もない赤ちゃんと養子縁組をするよう人たちに促したりもする。最近、エンターテイナーのホ・スギョンさんが、自分の配偶者なしで、精子バンクに寄贈された精子で妊娠した「ミスママ」だと明らかにした。法律的、宗教的な議論もあるが、進化論の面だけから見れば、ミスママのほうが養子縁組よりは遺伝子伝達の本能により忠実的な選択肢かも知れない。これはまた「女性の経済的な自立」という社会的な進化がもたらした副産物でもある。

虚承虎(ホ・スンホ)論説委員 tigera@donga.com