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「金氏、金弘一前議員に『兄さん』と電話」

「金氏、金弘一前議員に『兄さん』と電話」

Posted August. 17, 2007 03:02,   

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6・15南北首脳会談を約10日後に控えた2000年6月上旬。

金銀星(キム・ウンソン)国家情報院2次長(当時)は信じられない内容の「通信諜報」(盗聴内容文書)を受け取った。事案の深刻さが尋常ではないと判断し、ただちに林東源(イム・ドンウォン)国情院長の執務室に行き、「8局(科学保安局)で重要な電文を得た」と報告した。

報告内容は、金大中(キム・デジュン)前大統領の隠し子とされる金(37)氏が、ある神父との電話で「母親が死亡した」という事実を知らせると、神父が「ミサを執り行う。まず病院に安置しておきなさい」と言ったということだ。

林元院長は、「このような状況で、セキュリティが漏れることもあるため、格別に留意せよ」と金元次長に何度も指示した。金元次長は「抜かりなくするので、ご心配なく」と述べた。

16日に入手された検察の05年国家情報院不法盗聴捜査記録には、この場面がありありと描かれている。

当時金前大統領は、南北首脳会談の成功を機に、有力なノーベル平和賞受賞候補に浮上していた。

金前大統領の隠し子問題が外部に明らかになれば、ノーベル平和賞受賞に「悪材」になると憂慮したのだ。

金前大統領に本当に隠し子があったのかどうかは、このように国家最高情報機関が盗聴をして、国情院長に直接報告をしなければならなかったほどデリケートな事案だった。しかし、依然として金氏が金前大統領の娘なのか、その真偽は公式に確認されていない。

▲「統治権者の私生活」〓検察の捜査記録によると、金氏に対する盗聴は、金元次長の前任者だった厳翼駿(オム・イクジュン、死去)元2次長の時から始まり、約1年間続いた。金元次長は、業務引継の過程で、金氏に対する盗聴が行われている事実を知った。

金元次長は、「統治権者の私生活と関連するので、極度のセキュリティが必要な事案だと判断した」とし、「一般業務を除いて、私が神経を使う『懸案第1号』だった」と述べた。

その理由について、「当時ノーベル賞の問題があり、これ(金氏の存在)が明るみになれば、大騒ぎになると判断した」と説明した。

林元院長も、金氏関連の通信諜報報告書を持ってきた金元次長に、「外部にこれが流れれば大変なことになる。管理を徹底せよ」と指示するほど、「懸案第1号」の重大性を認識していたと、金元次長は話した。

金元次長は昨年3月、国情院盗聴事件と関連して拘束起訴された林東源、辛建(シン・ゴン)元国情院長に対する公判に証人として出席し、金氏を盗聴した事実を認めた。

金元次長は、「大統領の私生活と関連し、母と娘の2人や周辺人物を盗聴し、親子に対する盗聴は、林元院長に『生諜報(報告書形式で整理されない原文)』で報告した」と証言した。

このような金元次長の検察供述と法廷証言は、林元院長が盗聴の事実を知っていたという検察の主張の重要な根拠になった。

▲金弘一氏に「兄さん」…金氏と金前大統領の関係は?〓金氏の存在は05年4月、SBSの時事番組が追跡報道したことで、初めて世間に知らされた。

当時、金前大統領側は、これについて肯定も否定もしなかった。その後、昨年3月、金氏は文化日報のインタビューで、「私は金前大統領の娘ではないと思う」と述べた。

しかし捜査記録には、金氏が、金前大統領の長男・金弘一前議員に「兄さん、兄さん」と言って電話をかけたことが明らかになっている。

また、金氏が金前議員に金を要求し、武器仲介商の鉠豊彦(ジョ・プンオン)氏が経済的な援助をしていたが、鉠氏が米国に渡った後は、厳元次長が金氏を管理していたという。

金氏が誰なのか、捜査記録には明確に表われていない。当時捜査チームでは、林元院長が盗聴の事実を知っていたのかどうかに焦点を合わせたため、金氏をめぐる出生の秘密には、大きな関心を置かなかった。

ただし金元次長は、金氏が誰かと電話で不満をよく述べたと記憶していた。また、金氏がマンションの例会で自分を「金前大統領の娘だ」と言ったほか、金氏の母親が正常な状態ではなかったという内容も、捜査記録に含まれている。

当時、捜査チーム関係者は、「親子が神経質な内容を電話で話したこともあり、不安定な状態の時があったため、国情院が気を使ったのを記憶している」としつつ、「特に、金氏の母親の自殺の事実が知られれば、さまざまな憶測が出ると考え、格別の関心を持ったようだ」と説明した。

金前大統領側の崔敬煥(チェ・ギョンファン)秘書官は、「金氏がマスコミのインタビューで、はっきりと自分の父親は金前大統領ではないと明らかにした。本人が自ら明らかにしたのに、なぜ何度もこの話が出るのかわからない」と述べ、金氏は金前大統領と無関係だという点を強調した。

しかし、国情院の事情に詳しいある法曹界関係者は、「国情院のような組職が、何の根拠もなく1年間も特定人物を盗聴し、結果を国情院長に直に報告するだろうか」と述べた。



will71@donga.com wing@donga.com