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[社説]教育の政治化を完全に放棄しろ

Posted July. 05, 2007 03:06,   

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◆大学入試での内申書割合の波紋が縫合の段階に入った。金信一(キム・シンイル)教育相は昨日、大学の対話の会である大学教育協議会の会長団と会見して、今年の入試から内申書の実質反映率を50%に高めようとした当初の要求から後退し、「内申反映の割合を年次的に拡大する」ということで合意した。予算支援を打ち切ると脅して大学を強圧してきた政府が、1980年代の時局宣言以来、初めて教授たちが集団反発の動きを見せたことで、態度を変えたのだ。だからといって、問題が解決されたわけではない。教育を理念貫徹の道具であり、階級政治の手段のように考える盧武鉉(ノ・ムヒョン)政権の歪曲した教育観が変わらない限り、政府と教育現象の間で、いつ、どんなことが起こるか分からない。

◆現政府は終始、多数に迎合するポピュリズム的な教育政策を展開した。高校間の学力の差が明らかなのに、すべての学校の内申の成績に同じ点数を与えろと大学に強要してきたこともそうだ。これは、一生懸命に勉強して、実力をつけてきた学生たちへの逆差別であり、幸福の権利という基本権の侵害でもある。このような制度は、優秀な人材の育成に国運をかけた各国と、到底競争できなくさせる政策だ。政府は、弁別力があった大学入学能力試験(日本のセンター試験に該当)さえも、点数制をなくして等級制を強行した。

◆先月26日に発表した機会均等割当制は、教育ポピュリズムの極致である。大学の定員の11%まで低所得層の学生を入学させるという同制度は、学生募集乱を経験している地方の大学の反発を呼んだ。首都圏の偏重現象がひどくなり、地方大学は枯死せざるをえない。盧大統領は、均等割当制を「社会的弱者のための配慮」と定義づけたが、その配慮が「弱者大学」の境遇をさらに困難にする。非競争的特恵によって良い大学に進学した学生たちも、このような受恵だけで出世できない。教育の競争秩序だけが崩れ、最後には韓国教育の全体が崩壊するだけだ。

◆教育の政治化、政略化は、理念偏重でも現われている。教育界を極限の対立に追いこんだ私立学校法の波紋は、現政権が全教組など、理念偏向的団体の主張を受け入れ、強行したことから始まった。全教組が、学校運営の主導権を掌握しようとする意図に便乗し、教育を政治に巻き込んだのだ。私学法の改正案が国会で可決されたことでひとまず一段落ついたが、これまで教育に残した傷は誰が償うのか。

◆現政権の敵と味方に分ける特技は、教育でも例外ではなかった。特別目的高校と自立型私立高を「貴族学校」と決めつけて各種規制を加え、05年には「ソウル大学との全面戦争」を宣布し、ソウル大学を江南(カンナム)の学生たちが行く学校だと非難した。学校と学生を「ソウル」と「地方」に分け、「江南」と「非江南」に分けたのだ。

◆世界が人材を育てるために国力を集中している中、唯一韓国だけが、政権の短期的な人気を狙った「人材の妨害」に埋没している。韓国の入試方式に失望した学生たちが、海外に足を向けている。新入生の学力が毎年低下する現実に、教授たちはため息をついている。特有の教育熱で、人材の養成を通じて経済発展を成し遂げた韓国の成長動力が消えつつある。

◆東京大学の小宮山宏総長は、一度壊れた教育システムを再建するには、30、40年かかると展望した。米ハーバード大学のハワード・ガードナー教授は、「大学の主要目的は人材の養成であり、自律権が与えられてこそ大学が発展する」と述べた。韓国政府は、教育の政治化をただちに放棄しなければならない。