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[オピニオン]臨床試験の大国

Posted July. 03, 2007 03:31,   

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現代的な意味合いでの臨床試験を最初に実施した人は、動物実験を通じて人為的にガンの発生を誘導した功労が認められ、1926年にノーベル医学賞を受賞したデンマーク人のヨハネス・ピビゲル(1867〜1928)だ。氏は1898年、ジフテリアに対する血清治療の効果を調査するため、患者を2つの集団に分けて、ひとつの集団には血清治療を行い、対象集団は治療しない無作為の割り当て方式を実施した。現在の基準に照らしてみても非の打ち所のない最初の対象臨床試験だった。

◆ひとつの新薬が誕生するために、必ず経なければならない過程はほかならぬ臨床試験だ。通常、動物実験の結果が出た後、人を対象にした臨床試験に移る。臨床試験は手続きが非常にややこしく、試験の過程で守らなければならない倫理基準が厳しい。国際新薬許可規定(ICH)を守らなければ、薬効が立証されても新薬としての承認が受けられない。臨床試験の本家である米国でも、申請機関のうち臨床試験機関である認証協会の認証が受けられるのは約10%に過ぎない。

◆このような厳しい基準を満たしたうえで、臨床試験をつかさどる能力を有している国は数少ない。ところが、各多国籍製薬会社が主管する臨床試験市場のダークホースとして韓国が登場したという。世界的な製薬会社であるMSDは今年6月末、胃ガンの標的治療剤の開発のための最初(1床)の臨床試験を、韓国と日本で同時に開始した。また、他の製薬会社であるGSKは腎臓ガンや卵巣ガンの治療剤である「ハイカムティン」が、肝臓や腎臓の機能低下にも効果があるかどうかを調べる臨床試験を、韓国で近く実施する。

◆国際的に40兆ウォン規模に上る臨床試験市場は競争が激しい。米国は臨床試験全体の70%を消化する伝統的な大国であり、オーストラリアは年間700件あまりの2000億ウォン規模の市場を形成している。インドも韓国に追いつく勢いだ。韓国では00年、5件でスタートした多国籍の臨床試験が06年には108件へと急増した。臨床試験は経営難にあえぐ病院の新たな収益源となっている。ソウル大学病院など、10あまりの病院が急いで臨床試験センターを開設した。韓国の優れた医学技術が世界市場で認められた医療界の快挙であり、希望だ。

鄭星姫(チョン・ソンヒ)論説委員 shchung@donga.com