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「仮面をかぶった融資」

Posted June. 02, 2007 03:25,   

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2月はじめ、インターネットでショッピングモールの事業を始めたハン某(37)氏は、同月末、時価8億5000万ウォンのソウル江南(カンナム)地域の31坪型のマンションを担保に入れて銀行から6億ウォンを借りた。

所得に応じて融資が制限される住宅ローンとは異なって、中小企業向けの融資を利用したため、時価の70%まで融資を受けることができた。

中小企業向け融資のうち、住宅ローンのようにマンションや一般住宅を担保とした貸付が18兆ウォンを超えたことが分かった。

政府では今年はじめ、住宅価格の安定のために各種の住宅ローンの規制措置を出したものの、少なからぬ需要者たちが規制がより弱い中小企業向けの融資で正常レベル以上の融資を受けてきたわけだ。

東亜(トンア)日報が1日に入手した金融監督院の「担保および用途別の中小企業向けの貸し出し現状」の分析資料によると、住宅を担保にした中小企業向けの融資は3月末現在、18兆2000億ウォンで、昨年末に比べて1兆2000億ウォンが増加した。

●便法融資が分かっても見て見ぬ振り

中小企業向け融資の実態を把握するため、本紙の取材チームは先月30日、新韓(シンハン)銀行を訪れ、個人事業者向けの融資を受けたいと申し込んだ。

早晩、オンラインでショッピングモール事業を始める予定で、ソウル松坡区蚕室本洞(ソンパグ・チャンシルボンドン)の27型マンション(時価4億9750万ウォン)を担保に入れたいと申し込んだ。また、事業者登録はまだ出していないとも付け加えた。

銀行の職員は、「事業者登録は区役所ですぐできるので、登録証だけ作って持ってきてほしい」とし、「時価の75%の3億7000万ウォンを、6.1%の変動金利で融資する」と語った。

取材チームが「中小企業向けの融資で不動産を買えるか」と聞くと、職員は「当局が便法融資を調査しているので、気をつけて」と「親切に」相談まで受けてくれた。

同日、国民(クンミン)銀行の窓口でも同じ条件で融資の相談をしたところ、住宅を担保に中小企業向けの融資を受けられることが分かった。

国民銀行の職員は、「住宅ローンはさまざまな規制が適用され、所得がなければ5000万ウォンしか融資できないが、中小企業向けの融資では3億6000万ウォンまでできる」と述べた。

同氏は、「中小企業向けの融資を行った後、6ヶ月以内に提出する事業運営資金の内容がずさんであれば、早期返済も求められるが、担保を確保した銀行が審査を厳しくするわけがない」と付け加えた。

●住宅担保の中期融資は18兆ウォンを越える

住宅担保の中小企業向けの融資は、05年末の14兆2000億ウォンから、昨年末には17兆ウォンにまで増え、最近は18兆ウォン台を越えた。

昨年4月、住宅投機地域の6億ウォン超過のマンションに対する総負債返済比率(DTI)40%適用制度が実施された後、住宅ローンは減少したものの、住宅担保の中小企業向けの融資は急増した。

実際に、今年第1四半期(1〜3月)の中小企業向け融資の増加額1兆2000億ウォンは、同期間の住宅ローンの増加額(1兆2045億ウォン)と同じ水準だ。とりわけ、今年3月には中小企業向け融資は5000億ウォンも増えたが、住宅ローンは438億ウォンの増加にとどまった。

中小企業向け融資資金の多くが使途が確認できない運営資金の名目で執行されたことも問題だ。3月末基準の全体中小企業向け融資317兆2000億ウォンのうち、運営資金は251兆1000億ウォンで、施設資金(66兆1000億ウォン)の3.8倍の水準だった。05年末の基準では、施設資金が運営資金の4.2倍にもなった。最近、中小企業向け融資が設備投資のためではないことを確認できる部分だ。

●「体系的な信用評価がなければ、中小企業向け融資の不良化が懸念」

住宅を担保とした中小企業向け融資が急増したのみならず、融資を受けた業種が不動産関連業に集中していることも深刻な問題として指摘されている。

今年2月末の基準で作成された金融監督院の「業種別中小企業向けの貸出金現状」によると、建設・不動産業に76兆9000億ウォン(全体中小企業向け融資の24.8%)が貸し出されたことが明らかになった。

不動産のバブルが消えれば、中小企業向け融資を増やした各銀行は大きなダメージを受けざるを得ない状況だ。

実際、中小企業向け融資の延滞率は、昨年12月末、1.1%から今年3月末では1.3%と増えた。金融監督院では4月の延滞率は3月よりさらに高くなるのではないかと心配している。金融専門家たちは、各銀行の個人事業者向けの融資の基準がまちまちである上、格付け方式も精巧ではなく、不良化への懸念が高いと指摘している。

韓国経済研究院のぺ・サングン研究委員は、「銀行の無理な企業融資で1997年には通貨危機に見舞われ、住宅ローンの乱発で、02年にはクレジットカードの騒ぎが起きた」としながら、「信用評価への力量を高め、不良融資にも責任を持てるようにすべきだ」と語った。