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「油断は禁物」、終わりのない危機意識がトヨタの力の源

「油断は禁物」、終わりのない危機意識がトヨタの力の源

Posted May. 10, 2007 08:18,   

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●トヨタがやれば何でもトップ?

トヨタは今年1〜3月、世界市場で235万台の車を販売し、74年間、「世界トップ」の座を守ってきた米国のジェネラル・モータースを初めて追い抜いた。

渡辺社長は、「わずか3ヶ月分だ」としながら「年間基準ではどうなるか分からない」と述べたが、来年の予想売上高と販売台数がそれぞれ25兆円と889万台だと発表し、GMに勝つという意志を明らかにした。

競争相手のGMは、3月、米国証券取引委員会(SEC)に提出した年次報告書で、「世界の自動車市場のシェアにおいてトップを守り抜く確信がない」として、事実上、降伏宣言をしたことがある。これを受けて専門家たちは、世界の自動車業界の王座の交替を既成の事実として受け入れている。

トヨタは国内市場での切なる願いも遂げた。系列会社のダイハツが06年軽自動車の販売実績で、スズキを34年ぶりに追い越すのに成功したもの。トヨタとは経営スタイルが全く異なるスズキは、これまで日本国内で「トヨタすらどうすることもできない相手がある」という言葉の証のようにみなされてきた。

●公共部門にまで拡散する「トヨタDNA」

トヨタが負け知らずの勝利を収めたことを受け、トヨタ流の経営スタイルは民間企業を超えて公共部門にまで急速に拡散されている。

日本政府は小泉純一𩒐政権が命運をかけて推進した郵政民営化の結果として、07年10月に発足する郵便事業会社の初代会長に北村憲雄元イタリア・トヨタ会長を内定した。

北村会長候補は、トヨタのイタリアでの販売責任を持っていた10年間で販売台数を10倍に増やした「イタリアの奇跡」として有名だ。

稲葉良睍元トヨタ副社長は6月、中部国際空港の社長に就任する。長谷川康司元トヨタ専務も、道路関連の4つの公団の民営化措置に伴って05年10月に発足した首都高速道路会社の初代会長に就任した。

昨年9月には、職員たちの公金横領事件などが相次ぎ信頼が地に落ちた公共放送NHKが広報専門家の金田新元トヨタ専務を取締役として迎え入れた。

●効率性最大化の生産方式…販売力も優れている

トヨタが強い理由として専門家たちは効率性を極大化したトヨタ生産方式(TPS)を真っ先に取り上げる。

トヨタ効果はトヨタ以外の企業でも十分に立証される。

日本航空(JAL)は、日本国内の整備拠点にTPSを取り入れた結果、整備日程を35%も短縮した。一部の郵便局もTPSを取り入れた後、生産性が大幅に高まったことが確認された。

トヨタの強みはこれだけでない。レクサスの世界的なマーケティングの成功事例からも分かるように、販売力も優れている。

一部では「トヨタの影」と指摘しているが、賃金競争でも優位を占められる構造を備えている。トヨタの生産現場で働く社員の約3分の1は非正規社員だ。協力会社のなかには、従業員の約半分を低賃金の外国人労働者が占めているケースも少なくない。

トヨタの本拠地である豊田市の住居団地の「保見」団地がこれを如実に示している。保見団地の人口1万人余りのうち半分が日系ブラジル人をはじめとする外国人だ。

●業績のよかったときも労使間の賃金引き上げを自制

絶え間ない危機意識も「トヨタパワー」の源として取り上げられる。

トヨタ労組は、利益が最高値を更新しつづけた03〜05年の3年間、連続して「春闘(一括賃金交渉)」で、基本給の引き上げへの要求を断念した。05年初頭には、純利益が2年連続1兆円を上回ることが確実となったが、韓国や欧州系の自動車がトヨタを急速に追い上げており、競争環境が明るくないというのがその理由だった。

日本政府が消費向上のために賃金引き上げを促していた状況の中で行われた今年の春闘で、トヨタ労組は基本給1500円(約1万2000ウォン)の引き上げを要求した。決して大きい額とはいえなかった。

しかし、トヨタの経営陣の内部では、「このようなやり方で賃金を引き上げると、10〜20年後にはGMの二の舞を踏むことになりかねない」という危機論が沸き起こった。

結果的に、労組が一歩譲って、労使が前年同様の1000円の引き上げに合意した。

●「GMの二の舞は踏まないぞ」

最近、日本社会がトヨタを重宝するムードが高まり、内部では「GMがピークを謳歌していた1952年当時、ウィルソン社長が国防長官に抜擢されたことが、下り道への始まりだった」という警戒論が出ている。

日本社会もトヨタが安住しないように鞭を打ち始めた。

経済週間誌「日経ビジネス」は最新号に渡辺社長のインタビューを掲載して、トヨタの「大手企業病」の兆候を批判する各界の声を伝えた。

トヨタの生産調査部長だった元幹部職員は、「トヨタ工場の駐車場の鉄柵やトイレのパイプにペンキがはがれたところがある。かつては想像すらできなかったことだ」と、トヨタの将来を憂慮した。

同誌によると、一橋大学の伊丹敬之(経営学)教授は、「トヨタの業績を見れば、傲慢になる社員が出るのも不思議なことではない」としながら、「経営陣がこのような雰囲気を問題だと認識することこそ、トヨタはまだまだ大丈夫だというシグナルだ」と診断した。



iam@donga.com