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[オピニオン]安倍首相の供物

Posted May. 10, 2007 08:18,   

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「供え物を奉納したかしなかったか、明らかにしない。言えば外交問題になるので、言うつもりはない」。日本の安倍晋三首相は、先月21〜23日に行われた靖国神社の春季例大祭で神事に使うサカキの鉢植えを供え物として奉納したことを問う記者の質問に対し、このように答えた。日本の政治家が愛用する「あいまい戦術」である。安倍首相は昨年4月、靖国神社に密かに参拝した事実が明るみになった時も、「行ったか行かなかったか、申し上げるつもりはない」という回答で窮地を逃れた。

◆あいまい戦術は、建前と本音を適当に混ぜ合わせ、相手の攻撃をしにくくさせる。靖国神社への供え物に関する安倍首相の発言は、日本内の保守派には「所信を捨てなかった」と評価され、韓国や中国の強い反発も避けようとする「卑劣な手段」の産物である。軍慰安婦の直接的な証拠がないと言って、日本政府の責任と謝罪を回避してきた根っからの保守派らしい。小泉純一郎前首相は、むしろ率直だった。

◆安倍首相は就任後、中国と韓国を真っ先に訪問し、アジア外交を重視するかのように振る舞った。しかし米国を訪問した時は、米下院の日本軍慰安婦決議案の採択を阻止するために、全方位ロビーを展開するダブルスタンダード的な態度を見せた。今回、軍慰安婦に対する日本の責任と謝罪を表明した「河野談話」を継承すると言っておきながら、裏では靖国神社に供え物を密かに奉納したのだ。軍慰安婦問題には背を向けたまま、北朝鮮の日本人拉致だけ問題視することも、ダブルスタンダードの偽善である。

◆毎年靖国神社を参拝した小泉前首相は、安倍首相と同じく世襲政治家だが、本音と建前が違わないスタイルと評価される。いっぽう安倍首相は、表向きは綿のようだが、内面は鉄の塊である「綿鉄スタイル」と言われるほど、表裏が異なる政治家だ。戦争が終わって60年以上経っても過去を整理できないでいるのだから、日本が経済規模に見合った大国として待遇される道はまだ見えない。

権順澤(クォン・スンテク)論説委員 maypole@donga.com