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[社説]危機の科学教育、国の希望が消えつつある

[社説]危機の科学教育、国の希望が消えつつある

Posted February. 08, 2007 07:09,   

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韓国の数学と科学教育の現実が「国難」のレベルだ。蔡永福(チェ・ヨンボク)韓国科学技術団体総連合会会長は一昨日、尹鍾竜(ユン・ジョンヨン)三星(サムソン)電子副会長との対談で、「大学院の研究人員が足りず、プレゼントまで与えてベトナムやインドの学生を連れてこなければならない状況だ」と話した。基礎科学に赤信号が灯ったのは昨日今日のことではないが、一言でいえば、惨憺たる状況だ。

ソウル大学が先月、全国9大学に数学の問題を送り、自然科学系の学生たちに解かせたところ、100点満点で平均28点だった。微積分や工業数学ではなく、中学・高校の教科書から選んだ問題だったという。6日に締め切られたソウル大学の定時募集の結果、理工・自然科学系の未志願率が30〜40%にのぼった。歴代の国際科学オリンピアード受賞者の20%以上が医学部に進学し、このうち生物化学分野の受賞者は80人中35人が医学部を選択した。

科学技術の人材不足と不十分な科学教育で直撃弾を受けるのは、経済と民生の牽引の役割を果たす企業である。尹副会長も、「数学や科学などの基礎が十分にそなわっていない人材は創意力に欠け、企業の役に立たない」と話す。国民がこれほどまで豊かに暮らせるようになったのは科学技術の人材のおかげだが、先進国入りする前に人材不足で「成長エンジン」が消えかねない状況だ。

政府の責任は大きい。2002年から高校に適用された第7回教育課程で、学生の教科選択権を強調したことで、基礎科学教育が疎かになった結果である。監査院の調査では、全国4年制大学の理工系の入学生のうち29%が科学ではなく社会科目を選択し、55%は数学で微積分や確率、統計を学んでいないことが明らかになった。

これは、数学や基礎科学の教育に熱をあげる米国、英国、日本はもとより中国、インドとも正反対の姿だ。ブッシュ米大統領は昨年の年頭教書で、数学・科学教師の養成とともに、向こう10年間で基礎科学研究の予算を倍に増やすと宣言した。中国は、「科学者には思想も党性も問わない」として人材誘致に全力投球している。数学のノーベル賞と言われるフィールズ賞を数回受賞した日本も、安倍晋三首相みずから「教育再生」を叫んでいる。

韓国の現実はどうか。教育改革は目標も方向もなく漂流し、学生たちは教育実験の犠牲になっている。最近の教育課程改編の過程で露わになったように、国家と子どもたちの未来への明確なビジョンの模索はなく、教師のパワーゲームだけが幅を利かせる。

昨年訪韓した英キングス大学のジャスティン・ディロン教授は、「ノーベル賞の背後には立派な科学教育がある」と述べ、数学、物理学、化学のような基礎科学はすべての科学の出発点であることを強調した。ベストセラー『国家の品格』の著者である日本の藤原正彦教授も、「数学と理論物理学の強者だけが経済発展できる」と述べた。数学、科学の実力は一夜漬けでは通用しない。今からでも考えを変えなければならない。さもなければ、10年後を約束することはできないだろう。