男子プロバレーボール・大韓(テハン)航空の突風が続いている。得点トップのブラジル出身のボビの活躍が目立つが、他のチームにも彼と肩を並べる破壊力を持つ外国人選手らが構えている。本当の秘密はベンチにある。大韓航空のベンチには映画俳優のユル・ブリンナーのように強烈なハゲ頭の外国人が笑顔で座っている。アジウソン・ガラシ・ジャンブン(46、ブラジル)コーチ。昨シーズン、ブラジルリーグ・シメドクラブコーチとして、ボビとともに所属チームをリーグ優勝に導いた後、ボビの紹介でボビと一緒に韓国入りした。30歳までセッターとして名を博した彼は、ブラジルプロチームのコーチとイタリア女子プロチームの監督などを務めた。
●かつての名セッター…「怪物助っ人」ボビが紹介
大韓航空の選手らは、ジャンブン・コーチを「ショーバ」と呼んでいる。ショーバは「吸い込む(chupal)」という意味のポルトガル語から派生した愛称。初めてバレーボールを始めた時、歯列矯正装置の間からずっと唾を飲み込む癖を見て、あるコーチが付けたという。子供の時のニックネームを中年の年になって選手に呼ばれても平気なのかと尋ねると、「それがどうした?(Why not)」という答えが返ってきた。自分の名前は長すぎるので、ただ「ショーバ」がいいという。
開放的なジャンブン・コーチは、教え方もクールだ。彼が精魂込めて育てている選手は、現役時代に自分のポジションだったセッターの金ヨンネ(26)。彼が昨年10月、韓国に着くやいなや、ムン・ヨングァン監督に注文を付けたのは「金ヨンネに走ることを強要しないでほしい」ということだった。「セッターはサッカーのMFではない。トスさえうまくできればいい。どうして長距離を毎日走らせるのか」と反問した。
代わりに、金ヨンネには普通のバレーボールのボール(260〜280グラム)と大きさは同じでも、重さは3倍もあるボールを毎日500回以上、速く低くトスする練習が課題として与えられる。速攻能力をアップしようということ。
●短くて速いトスを集中練習…攻撃的チームに変貌
実は、かつて大韓航空はA速攻(セッターの近くで行われる攻撃)がほとんどないに等しいチームだった。過去2シーズン、6チームのうちA速攻では連続最下位だった。今季、やや状況が好転して、成功率4位に成功回数5位、さらに、ボールをネットの左右へ長く分けて配給するC速攻(セッターがネットの最後までボールをトスしてレフトとライトで行われる攻撃)は成功回数が4位から2位へ急上昇した。もちろん、金ヨンネの短くて速く変わったトスのおかげだ。
速攻を身につける速度は引き続き速くなっている。大韓航空は4日、昨シーズン速攻1位チームの現代(ヒョンデ)キャピタルと対戦して、速攻を22個(A速攻6個、C速攻16個)成功させて、現代キャピタルの23個(A速攻7個、C速攻16)にまったく引けを取らなかった。
こうなると、現役時代、国家代表のセッターでA速攻の名手として名を博したムン監督も口癖のように言っていた「気のきいたセッターが一人でもいたら…」という言葉を忘れた。
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