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[オピニオン]組織暴力団の経済学

Posted January. 31, 2007 07:09,   

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暴力にも美学がある。映画の場合は、アクションやホラーなど暴力物のジャンルが別にあり、マカロニウェスタンや香港ヌーベルバーグという変種もある。ブルース・リーとジャッキー・チェンは香港武術映画を世界の舞台に披露した。「ワンス・アポン・ア・タイム・イン・アメリカ」や「ゴッド・ファーザー」は芸術史に記録される傑作だ。最近ではタイの伝統武術ムエタイを素材にした「Ong−Bak」シリーズがワイヤーやコンピューターグラフィックなしに撮影されたとして話題だ。

◆暴力映画やドラマが現実に及ぼす影響について多様な研究が行われた。サンディエゴ・カリフォルニア大学のデビッド・フィリップス教授は未来の事件を非常に正確に当てる。特に有名なのが「プロボクシングヘビー級世界チャンピオン戦が米国全域に中継されると、4日以内に11人の罪のない米国市民が殺害される」という予言だ。数年間開かれた試合前後の殺人推移を分析した後に出した論文内容だが、その後かなり当たった。さらに悲しいことは、試合後に殺害された人の類型が試合で負けた選手に似ているという点だ。若い黒人選手が敗れると、若い黒人男性の被殺者が増加した。

◆韓国でも組職暴力を美化する映画が多く、心配する声が高い。『花嫁はギャングスター』『大変な結婚』『家門の危機』のようなコミック物は現実とよく区分される。一方『グリーン・フィッシュ』や『チング〜友よ』のようなシリアス劇は青少年たちの模倣心理をけしかけやすい。これらの映画は利権のために友達を殺すという筋書だ。しかし主人公たちは男らしく素敵に描かれている。暴力の美学というより「暴力の美化」と言おうか。

◆組織暴力団の実際の生活は決して素敵ではなく利益を考えるだけという報告書が出た。捜査官らも「昔も今も組織暴力団には義理などなく、金の前で卑劣になるのみ」と言う。スティーヴン・レヴィットという米国の経済学者は著書『ヤバい経済学』で麻薬ギャング団の会計帳簿を通じ組織員らの生活がいかに惨めかをよく見せてくれる。米国では行動隊員たちが良い職場を得ると組職を去るが、「良い職場」というのがたかが下働きの仕事だと言う。映画と現実は差が大きい。

許承虎(ホ・スンホ)論説委員 tigera@donga.com