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「外国規制を真似する財閥改革は困難」

Posted December. 27, 2006 03:30,   

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07年、韓国経済の新たなスタートを控えて彼に会った。アムズダン教授は、「韓国の経済成長に向けた私の信念は、27年間1度も揺らぐことはなかった」と述べ、「韓国人たちはもっと自信を持つべきだ」と強調した。

—韓国経済論の古典としての評価を受けている『後発国々の復興』で、財閥企業を肯定的に評価した。しかし、韓国では財閥を批判的な目で眺める見方もある。あなたの見方は今も変わってないのか。

「当たり前だ。79年、韓国の鉄鋼や造船メーカーなど、主要30社を歩き回りながら、成長要因を分析したことがある。世界銀行(IBRD)の振興国家の経済開発分析プログラムに参加していた時だった。

労働者たちを『尋問』でもするかのように、追っかけまわりながら研究していた当時、韓国企業の情熱や闘志に深い印象を受けた。財閥と呼ばれる大企業は今も世界的な技術を開発し、雇用を創出する重要な役割を担っている。未来のための質の高い教育コンテンツを保有した核心的な主体だ」。

—しかし、現政府は初期の財閥改革を強く推し進めた。その過程で大企業に対する国民の情緒にも影響を及ぼした。

「どんな国であれ、家族企業の規模が巨大になり歴史が長くなると、必然的に2つの現象が現れる。第1には、家族構成員が互いにケンかを始めることだ。兄弟同士や嫁と義理の両親、息子と父親が経営権や財産をめぐって、激しい戦いを繰り広げるようになる。第2は、皆がその企業を嫌うことになるというものだ。愛されるには余りにも体つきが大きくなりすぎるわけだ。従って、同時点での財閥規制や改革は、ある面では望ましい側面がある。ただし、重要なことは、心からその企業と韓国経済のための財閥改革であるべきだということだ。単に、外国の規制を真似するレベルで適用する事例は避けるべきだ」。

—韓国の財閥改革が外国の基準に偏っているという意味か。

「そのような側面がないとは言えない。例えば、外国企業が買収合併(M&A)ができるように規制を緩和したのは、韓国より外国人投資家たちのための措置だったと思う。韓国人たちが汗水たらして作り上げてきた実りを、外国人たちに鷲づかみでたべられるような道を切り開いたのだ。グローバル・スタンダード?、金融市場開放?、そのような論理だけに固執する人々の主張は大方独断的だ。論理的にはあうが、実際には適用しづらい点もある。外国人投資家だけにメリットのある主張だ。

最近、財閥2、3世たちの後継構図が可視化している。経営権の引継ぎ作業が本格化する傾向をどう考えるのか…。

「かつての経営権の引継ぎとは違うと思う。もはや企業の成果を重要に考える雰囲気が強まっていて、それを見守っている視線も多い。経営権を持つようになっても、2、3世が能力を発揮できなければ引き下がるしかない。もちろん、一定の持分を持っているので、株主としての力は発揮できるだろうが。結局、経営者の過ちで企業が揺らぐと株の価値も急激に下がることになる。影響力を行使しづらくなるだろう」。

—韓国政府の財閥改革の方向性が、経済の低迷に影響を及ぼしたと思うか。

「韓国経済は経済協力開発機構(OECD)加盟以来、厳しくなった部分がある。韓国には高度成長のために韓国に合うやり方があったのに、あまりにも簡単にこれをあきらめ、グローバル企業の基準に合わせようとした。また、金融危機に見舞われながら、金融市場の扉をすべて開け放つしかなかった。しかし、『グローバル・スタンダード』というものの実態ははっきりしていない。ただ、名前だけをつけたものだともいえるのだ」。

アムズダン教授が最近完成した著書の仮題は、『帝国からの脱出 (The Escape from the Empire)』。ここにはチリやインドネシア、インドなどの分析をもとにして、振興経済国々が経済大国の論理に振り回されず、自分の成長方式を追い求めるべきだというメッセージが盛り込まれている。

—自由貿易協定(FTA)はどうなのか?米国は韓国と交渉を進めながら、韓国が非常に閉鎖的だと、あからさまに批判しているが…。

「隣国である日本に目を向けてみてくれ。米国が市場の扉を開くように、数え切れないほど圧力を加えたが最後まで頑張った。自国の利益と関係のあるグローバル交渉には、戦略的に臨むべきだということだ。市場開放そのものが持っているメリットも多いが、開放の条件が問題だ。米国の要求通り引きずりまわされる前に、よく損得を計算してみて自分のやり方で考えてみなければならない」。

—最近、低迷している韓国経済を見ていると、あなたの楽観的な予測が間違っているという気もする。韓国はもはや「Next Giant」とみなすことはできないのでは…。

「20年前にも同様だった。韓国人はうまくやっていながらも、常に不安がって、自分は物足りないと思う。そのような恐れや悲観論は必要以上に誇張されている。ただ、最近、北朝鮮の核問題で外交分野で問題が発生している点は影響を及ぼしかねない」。

—様々な数値をみると、ほかの東南アジアの国々や振興開発国に比べて韓国の成長率が落ちている。

「それは各国の発展段階が異なるからだ。高度成長に差しかかった国と、その段階をすでに超えた国とは、成長速度は異なるのが当たり前だ。韓国が直面しているこの正念場は今までとは異なり0.1%を引き上げることが難しく、技術的な革新やフロンティア精神がなければ克服しにくい。しかし、悲観的な状況ではない。皆が思うように、中国の追いつきを脅威的だとみなしてもいない。

—北朝鮮の核問題は長期的に経済にどのような影響を及ぼすことになると思うか。モルガン・スタンレーは外国人投資家の忌避現象で、来年は10兆ウォン台の「セール・コリア」現象を見込んだりもした。

「(手にしているコーヒーカップをのぞきながら)北朝鮮が爆発させたという核兵器は、このカップの中のティーパックのようなレベルだった。

規模の小さかったし、破壊力も大きくなかった。来年の韓国経済にも大きな影響は及ぼさないと思う。私はむしろ、暇さえあれば北朝鮮の核問題にかこつけて、お金を持っていこうとしている外国資本の問題を指摘したいと思う。韓国に実際に危険があるのではなく、自分たちの利益に害になるというレベルで問題を見ているからだ。外国資本が勝手にお金を持っていかれないように、罰則のようなものを作ればどうか(笑い)」。

1時間半のインタビューが終わる頃、アムズダン教授は、「MITに韓国研究所を設立したかったが、うまくいかなかった」とし、これを成功させる方策を聞いてきた。一時、意欲的に推進したが、支援を約束した大宇(テウ)グループが倒産して、いまはあてもなく中止に追い込まれた状態だという。彼は、「研究所の名前を『KIM)』、すなわち『Korea Institute of MIT』とつければ素敵ではないか」と、まだ意欲を残していることをほのめかした。



lightee@donga.com