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予備妊婦ら「出産遅らせることはできませんか」

予備妊婦ら「出産遅らせることはできませんか」

Posted November. 25, 2006 08:10,   

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●インターネットのコミュニティーとアクセサリーまで

亥年である2007年が600年に約1回と言われる黄金の亥年という噂が、最近若い夫婦らの間に急速に広がっている。丁亥年の「丁」が五行で火を意味することから、来年が「赤い亥年」であり、陰陽五行を加えて計算すれば黄金の亥年だというのが噂の主な内容。

産婦人科、助産院、産後ケアサービス院では、来年の出産を準備する予備母親たちの問い合わせが増加している。京畿道一山(キョンギド・イルサン)新都市のD産婦人科のイ・チャンソン企画室長は「妊婦の来院や相談件数が去年に比べて20%ほど増えた」と伝えた。京畿道富川市遠美区(プチョンシ・ウォンミグ)にあるY助産院関係者も「たいていは妊娠7〜8カ月のごろに助産院を訪ねてくるが、今月に入り来院と相談件数が1.5倍くらい増えた」と説明した。

忠南(チュンナム)大学・全広熙(チョン・グァンヒ、人口学)教授は「05年に出産率が過度に低かったせいもあり、双春年(立春が2度来る年)、「黄金の亥年」の俗説もあって、07年の出産率は大きく上昇するだろう」と見込んだ。

インターネットのポータルサイトにはすでに「黄金の猪の母親たち」「2007・亥年の赤ちゃんの母親たちの集い」など黄金の亥年を待つ予備父母の集いが4、5個設けられている。「黄金の亥年のマーケティング」も熱い。各メーカーはすでに黄金の猪(ブタ)を素材にした携帯電話のアクセサリー、貯金箱、カレンダーを発売しており、アパレルは猪(ブタ)のキャラクターをプリントしたベビー服15000枚を生産し、12月から市販する予定だ。(訳注:イノシシ年を韓国では亥年と呼ぶ)

一部メディアは、来年に出産が予定されているスターらの出産予定日を紹介しており、某ホテルは10月からベビーシャワー(安産を祈り、友人や知り合いらが出産用品をプレゼントするお祝いのパーティー)のパッケージイベントを開いている。

●「とんでもない話」

しかし、命理学(その人の生まれた年・月・日・時の千支による四柱八字を基にして、天命を知ろうとする運命学)の学者らと民俗学者などは、もっともらしい話だが、黄金の亥年の俗説にあきれているという反応だ。易術家(占い師)らは丁亥年を「赤い亥年」と解釈することはできるものの「600年ぶりの黄金の亥年」というのは、根拠のない誇張だと語る。

韓国の民間信仰と伝統ではこれまで丁亥年に特別な意味を付与したりなかったという見方もある。韓国民俗研究所の朱剛玄(チュ・ガンヒョン)所長は「韓民族の風習で、多産と多くの福を象徴するブタを崇めたてる伝統はあったが、赤いブタ、黄金のブタが重要に思われたことはなかった」とし「一言でとんでもないこと」と話した。

大田(テジョン)大・宋寅昌(ソン・インチャン、哲学)教授は「亥年生まれには財運があるが、駅馬熬(あちこち忙しく移る運)もある」とし「共生と相克を重要視する命理学の特性上、無条件に良い年はありえない」と述べた。実際、フォーブスのオフィシャルサイトにある世界で最も裕福な50人のうち丁亥年(1947年)に生まれた人はスウェーデンの有名衣類ブランド、H&Mのステパン・ペルソン(第32位)会長だけだ。

●突然、なぜこの時点で?

「黄金の亥年」の俗説は中国から入ってきたものと推定されている。中国では丁亥年が「黄金の亥年」といわれ、その年に生まれた子どもは楽に生きることができるという民間の俗説がある。そのため、中国でも最近、妊婦が急増しているという報道が相次いでいる。

西江(ソガン)大の李ウギョン(中国文化)教授は「民間で伝わっている俗説だったが、最近、中国でも南部地域を中心に出産ブームが広がっている」とし「だが中国内でも丁が五行のうち火を象徴するが、これの代わりに金を付けて、黄金の亥年と呼ぶことに対し、易学的に間違っていると批判する声もあがっている」と伝えた。

韓国には伝わっていなかった「黄金の亥年」が突然この時点で流布した背景については、推測が入り乱れている。安東(アンドン)大の金ミョンジャ(民俗学)教授は、「中国ですでに商業化された黄金の亥年を、出産関連メーカーらが流布しているようだ」と疑った。

最近、中国留学生が増えているうえ、インターネットと通信が発達することにより、自然に伝播(でんぱ)しているという見方もある。一部では、少子化が進み、頭を悩ませている政府が出産率を高めるために、意図的に流布しているという笑えないデマも飛び交っている。全広熙教授は「根拠がどうであれ、いったん出産率が伸びるならば、国家レベルでは良いことだ」とし「しかし、来年に黄金の亥年の子どもがたくさん生まれるとしたら、結局、他の年に出生した人々より激しい入試競争、入社競争などに苦しめられる可能性が多いことから、幸せなばかりではないだろう」と語った。



peacechaos@donga.com