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[オピニオン]魔術

Posted August. 09, 2006 04:30,   

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1850年代、フランスの支配を受けていたアルジェリアでは、「マラブー」というイスラム神秘主義の修道僧一派が、魔法を利用して独立運動を刺激した。ジョラス・アルカティムという人物が率いるマラブーは、ガラスの破片を食べ、手を当てて傷を癒すことで、アルジェリア人を魅了した。アルジェリア人は、マラブーの命令なら、すぐにでも蜂起する態勢だった。当時のフランス皇帝ナポレオン3世は、アルジェリア人を武力で鎮圧するよりも、マラブーと同じやり方で問題を解決することにした。

◆1856年、アルジェリアに派遣されたある魔術師は、首都アルジェのある劇場で、様々な不思議なマジックを披露した。皿からアメを取り出すのも、そのうちの一つだった。彼は、力の強い男性観客に舞台の上の木箱を持ち上げるように言った。その男は軽々と箱を持ち上げた。魔術師はこの男に魔法をかけ、再び持ち上げるように言った。すると、いくら力を出しても木箱はびくともしなかった。その後、アルジェリア人たちにマラブーの魔法は通じなくなった。

◆この魔術師がまさに「近代奇術の父」と呼ばれるロベール・ウーダン(1805〜1871)だった。若い頃、時計職人として働いたウーダンは、機械装置を巧みに扱った。その腕を応用して職業マジシャンになり、初めて電気をマジックに利用した。マジックの舞台で行われる多くのトリックの元祖である彼は、ピエロの服装ではなく、黒のタキシードで公演した最初のマジシャンでもあった。マジックのトリックよりもすごいことは、一滴の血も流さずアルジェリア革命を阻止したことだった。

◆新世代マジシャンの李ウンギョル(25)氏が、マジック協会国際連合(FISM)の06マジック大会の「ジェネラル・マジック」部門で1位になった。韓国マジック界の快挙だ。李氏はすらりとした外貌で、トリックもすばらしく、「ストーリーのあるマジック」という独自のスタイルを作り上げた。彼の言葉を借りれば、「まやかしではなく、魂の込もったマジック」だ。ウーダンのマジックは、アルジェリア人の蜂起を阻止し、李氏のマジックは、現代人が忘れてしまったファンタジーを刺激し、心身を楽しませる。

鄭星姫(チョン・ソンヒ)論説委員 shchung@donga.com