脱北者出身でテレビ放送の芸能娯楽番組にしばしば出演していたＡ氏は、「韓国の女性は外見はきれいで洗練されているが、気立ては北朝鮮の女性ほどではない」という発言をたびたびしていた。献身的に男性につくすのが女性の美徳だった伝統が、韓国では消えつつあり、残念だという話だった。北朝鮮に「男尊女卑」の風潮が今も残っているなら、金日成（キム・イルソン）・金正日（キム・ジョンイル）の世襲過程で、家父長的秩序が強調されたことも原因のひとつだろう。
◆２７日、オーストラリアで開かれた女子サッカーの２００７年ワールドカップ（Ｗ杯）の予選を兼ねた女子アジア・カップの中国との準決勝戦で、北朝鮮の選手たちが誤審に抗議して、イタリアの女性主審を蹴り、ペットボトルを投げる騒動を起した。判定が釈然とせず、悔しがるのも分かるが、ミサイル発射で「好戦的国家」と見られていたところであり、北朝鮮のイメージだけがさらに悪くなってしまった。だが、官営メディアの労働新聞は３０日付の社説で、「先軍革命の領導に従うことは女性の神聖な使命」と述べた。審判に対する足蹴りも「先軍の実践」と言うことか。言行が一致しないのか、もはや食い違いに開き直ったのか。
◆２８日、マレーシアで閉幕されたＡＳＥＡＮ地域フォーラム（ＡＲＦ）に出席した北朝鮮の白南淳（ペク・ナムスン）外相は徹底的に「のけ者」にされた。各国の外相が儀礼的に握手を交わす時でも、彼に手を差し出す外相はいなかった。北朝鮮の最大の友好国である中国の李肇星外相まで、見て見ない振りをしたのだ。国際社会の制止を振り払い、ミサイル発射を強行した対価を、北朝鮮は支払っているわけだ。
◆北朝鮮は、国際社会の再三の６者協議復帰要請に対し、「米国の制裁でマカオのバンコ・デルタ・アジア（ＢＤＡ）銀行に凍結された２４００万ドルの凍結解除が会談の前提条件だ」と言い張っている。外交的孤立の選択による損失を合理的に計算しない行動だ。韓国政府が支援を保留したコメ５０万トンと肥料１０万トン、軽工業原資材だけでも１０億ドルを上回る。大量破壊兵器の開発を放棄すれば道はあるのに、なぜ枯死の道に進むのか、その意固地さが哀れだ。
韓起興（ハン・ギフン）論説委員 eligius@donga.com
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