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重心失った政府、内輪もめで揺れる韓国

Posted July. 10, 2006 03:03,   

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北朝鮮のミサイルがソウルから釜山(プサン)まで、大韓民国内部を揺さぶっている。韓半島全域が十分射程に入る7発のミサイルが発射されたにも関わらず、北朝鮮との会談に執着する政府と、韓米自由貿易協定(FTA)締結に反対する反米デモの激化、そして、それに対抗する保守派団体の反政府デモもエスカレートしている。大韓民国の7月は南南(国内)葛藤の混乱に陥る兆しを見せている。

▲ソウルの反米集会と釜山の反北・反政府集会〓10日からソウルでは韓米FTA交渉が開かれ、翌日の11日から釜山では南北閣僚級会談が開かれる予定だ。

まず、FTA交渉が行われる10日から14日まで、交渉会場がある新羅(シルラ)ホテルの前では、FTA阻止汎国民運動本部が毎日交渉阻止に向けた決意大会を行うなど、市内の随所で多様な形の集会と宣伝戦を展開する予定だ。集会では、激しい反米デモが繰り広げられるものと予想される。今回の集会には、反米デモの先鋒に立ってきた「平沢(ピョンテク)米軍基地移転反対汎国民対策委(汎対委)」も参加する予定なので、さらに極端な反米の掛け声が登場するものと見られる。

同じ頃、釜山ではミサイルを発射した北朝鮮と会談を行うことに反対する世論を背負って、北朝鮮と現政権の対北朝鮮政策に抗議する保守団体によるデモが相次ぐ見通しだ。南北と米国をめぐった実利と理念間の葛藤が浮き彫りにされるわけだ。このような葛藤は、特に相当部分、政府の無原則な行動様式からもたらされたという指摘も提起されている。

宋復(ソン・ボク)延世(ヨンセ)大学名誉教授は、「複合的なジレンマを解決するためには、国の中心軸である政府と与党がその役割をきちんとこなさなければならないが、中心を失っているということに問題の深刻性がある」と述べた。

韓国政府が北朝鮮のミサイル事態に対して、主要友好国である米国や日本とは違って、落ち着いた対処を強調する一方、FTAに対してはその必要性を十分交渉の反対勢力に説明しなかったため、さらに混乱が深まったということだ。一部では、政府が来年の大統領選挙を控えて、反米デモを政治的に利用しようとしているのではないかという疑問も提起している。

▲軍事演習理由に会談拒否する北、ミサイル発射も会談に応じる南〓北朝鮮は、韓米合同軍事演習などを問題視して、何回も閣僚級会談を延期したが、政府は現在、それよりずっと危険なミサイル発射にも関わらず、会談を強行しようとしている。

2000年7月から18回開かれた会談のうち、北朝鮮側は6回も一方的に会談を延期した。さらに今年3月28日から31日まで平壌(ピョンヤン)で開かれる予定だった南北閣僚級会談を一方的に延期しながら、「外勢との軍事訓練を強行するのは遺憾だ」と主張した。

北朝鮮が指摘した軍事演習とは、韓米合同戦時増員(RSOI)演習のことだが、これは通常の防御演習である。しかし、政府は北朝鮮のロシア・中国との合同演習などに対して、「南侵訓練」だと非難しなかった上、南北会談とも結び付けなかった。

北朝鮮は、甚だしくは米国が9・11テロやイラク戦争で南側の警戒態勢が強化されたことにまで文句をつけて、会談を延期した経緯がある。

一方、韓国政府は11〜14日、釜山で行われることになっている第19回南北閣僚級会談を強行するという方針だ。野党ハンナラ党はもちろん、南北関係の専門家の間でも「政府は閣僚級会談を、まるで全ての解決策の終着点であるようにこだわっている」という指摘が絶えない。

▲「南南葛藤」にはそっぽ〓ソウルと釜山での違う性格の激しいデモなどで、国が混沌の中に陥るようになったことに関連して、大統領府の責任論を指摘する声が少なくない。大統領府が北朝鮮のミサイル発射に対する融和的な態度を維持し、南南葛藤には「われ関せず」の態度を示しているため、事態の解決に向けた国民世論をまとめることがさらに難しくなっているという指摘だ。

諸成鎬(チェ・ソンホ)中央(チュンアン)大学法学部教授は、「政府が構成員の統合のための政治ではなく、分裂の政治を続けながら、それを得票に結び付かせようとする戦略で一貫したため、葛藤の政治が拡大・再生産されている」とし、「政府はこのような危機の時ほど、さらに反対の意見に耳を傾けて尊重することで、葛藤を克服しなければならない」と話した。