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「発行部数の多い新聞社に対する規制は、言論の自由の侵害」

「発行部数の多い新聞社に対する規制は、言論の自由の侵害」

Posted June. 30, 2006 03:25,   

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憲法裁判所(憲裁)が違憲決定を下した新聞法17条の「市場支配的な事業者」の条項は、新聞法の核心を取り扱う内容だ。

与党ヨルリン・ウリ党議員らは、04年10月20日と12月31日、新聞法の制定を提案し、「深刻化する世論の独占・寡占の解消」を主な理由として挙げた。特定新聞のマーケットシェアが高い場合、世論の多様性の確保が難しいため、政府が介入してシェアを人為的に調節すべきだという論理だった。これは、世論の多様性を名分にして東亜(トンア)、朝鮮(チョソン)、中央(チュンアン)など、政府に批判的な声を出す主流の言論を遮断しようとする政治的な意図として受け止められた。

今回の憲裁の決定で、政府与党の新聞法立法の意図そのものが間違えたことが明らかになった。憲裁は、かえって新聞社の複数所有を禁じた条項(第15条)に対して憲法不合致の意見を示したことで、立法者が意図した新聞市場の多様化という論理を徹底的に排撃した。

新聞法は新聞産業に限って、市場支配的事業者の推定基準を強化して、「一つの事業者30%、三つの事業者60%」と規定している。憲裁はこの条項に対して、7対2で、「新聞の多様性の保障という立法目的の達成のための合理的で適正な手段になりえず、新聞事業者の平等権と新聞の自由を侵害して憲法に違反する」と決定した。

また、市場支配的事業者を新聞発展基金の支援対象から排除した34条に対しては、「合理的な理由なしに、発行部数の多い新聞社を差別するのは平等の原則に反する」とし、裁判官全員一致の決定を出した。

▲多様性の規制は違憲〓憲裁は、「市場支配的地位は、読者の個別的・精神的な選択によって形成されるものなので、これを不公正な行為の産物と見たり、不公正行為をもたらす危険性が高いと見るほどの事情がない」と判断の理由を述べた。新聞のマーケットシェアは、読者の自然的な選択の結果なので、これを政府が介入して人為的に調整しようとするのは、憲法に反するという意味だ。

市場支配的事業者を推定する際は、市場をどのように定義し、どの基準でシェアを計算するかが中核だ。新聞法は、一般の日刊新聞と共に産業・科学・宗教・教育・体育など特定分野に限られたテーマを扱う特殊日刊新聞を合わせて、全体新聞市場と規定している。また、発行部数を基準にシェアを計算するようになっている。

憲裁はこれに対して、「取り扱うテーマと読者層が全く違う一般の日刊新聞と特殊日刊新聞の間に市場の同一性を認めており、傾向がお互いに違う新聞に対する個別的な選好度を合わせて一つの市場に見るのは不合理だ」と判断した。

また、「発行部数を基準に新聞市場のシェアを評価している点も不合理だ」と指摘した。これは、新聞の影響力が資本力からも出るため、どれほど多くの人が読むかだけを基準に支配力を評価するのは不合理だという意味に解釈される。

一方、周善会(チュ・ソンフェ)、李ゴンヒョン裁判官は、「新聞市場の独占・寡占は、世論の歪曲をもたらしかねないため、一般の商品市場の独占・寡占より弊害がはるかに深刻だ」とし、新聞市場に限ってシェアの規制を強化するのは新聞社に対する差別と見られないと、合憲の意見を出した。

▲世界で類を見ないシェア規制〓世論の多様性を名分に新聞のマーケットーシェアを人為的に制限する国はない。米国の場合、2つ以上の都市で発行される新聞が6種に過ぎないほど、地域別の独占が定着されており、日本も朝日新聞を含めて3大日刊紙が全国日刊紙市場の76.8%(03年の発行部数基準)を占める。

マーケット・シェアの制限を主張する側で代表的な事例として主張するフランスも、買収合併に限ってシェアが30%以上を越さないように制限を設けているが、実際に規制したりはしない。政府が強制で市場の構造を調整するのが難しいからだ。

韓国外国語大学のムン・ジェワン(憲法学)教授は、消費者は新聞を含めて多様な媒体から情報を得ているため、新聞産業だけを個別に取り出して、シェアを規制するのは供給者中心の考え方だと批判した。



ecolee@donga.com