韓国の物価が日本より安いという「常識」が崩れている。
特にゴルフ、スキー、高級レストランなど高価の消費分野ほど、両国の物価が同等か、むしろ韓国が高い場合が少なくない。
●一部は韓国のほうが高い
東京で5年間支社長を務めて昨年帰国したS社の李チーム長の家族の1ヵ月間の生活費は、350万ウォンで、日本にいる時とあまり変わらない。
李チーム長は、特に家族と一緒に外食をする度に、韓国の飲食価格に「ひどいバブル」が作られていると感じる。日本ではファミリーレストランで4人家族が食事をするのに5万〜6万ウォンあれば十分だったが、韓国では同じレベルの食事を取るためには10万ウォンは必要だ。
李氏は「韓国では、ちょっとよさそうに見えると高すぎて、安いなと思えば品質が大きく落ちる。中間がない感じだ」と話した。
ソウルで勤務する日本企業の駐在員B氏の話もこれに似ている。
「洋服を買いにデパートに行ったけど高すぎてあきらめました。日本では韓国ウォンで30万〜40万ウォンで買える品物が、こちらでは50万〜60万ウォンするんです」
グローバルブランドでサービスと味が標準化されている製品も韓国の方が高い。
コーヒーショップのスターバックスで売っているカプチーノ(Sサイズ)一杯の価格は、韓国と日本がそれぞれ3300ウォンと290円(約2465ウォン)で、韓国が約1000ウォン高い。マクドナルドのビックマックも、韓国では2900ウォンだが日本では280円(約2380ウォン)だ。
●ウォン高も一因…観光業界泣く
韓日両国の物価差が縮まったのは、日本の物価がここ10年以上、足踏みか下落を続けたのに対して、韓国では着実に上昇し続けたからだ。
2000年の消費者物価指数を100としたとき、韓国は1995年の82.3から昨年は117.8と43%上がった。一方、日本は同期間98.5から97.8へと、逆に下がっている。
肌で感じる物価差がさらに縮まったのには、為替相場が大きく響いている。最近ウォン高で100円のウォン相場は昨年1月に1005.69ウォンだったが、今年4月は814.84ウォンと約20%もウォンが値上がりした。
これら要因の影響もあって、韓国を訪問する日本人観光客が減っている。今年4月までに韓国を訪れた日本人観光客は73万3367人で、昨年同期間に比べて10万4743人(12.5%)減った。一方、日本を旅行した韓国人は12万1279人(21.6%)増加の68万2000人だった。
●韓国物価にバブル発生
経済専門家たちは、日本のように物価が下がり続けるのも問題だが、両国の経済格差を考慮すれば、両国の物価差が接近するのは決して好ましくない現象だと指摘する。
経済規模(国内総生産GDP基準)が韓国の7倍に及ぶ日本の物価が韓国と同じ水準であるときいうことは、それだけ韓国経済の隅々にバブルが作られていることを意味するからだ。
LG経済研究院のソン・テジョン研究委員は「価格競争力が低下した日本製消費財がブランドパワーを前面に出して韓国消費市場を蚕食する可能性が高くなった。貿易不均衡が産業から観光にまで拡大されるのも問題だ」と指摘した。
三星(サムスン)経済研究所のヤン・ジュンホ首席研究員は、「日本の物価が上がらないのは、甚だしい不況を乗り越えるために実施した流通構造の単純化、生産構造の革新など日本企業の努力も一役買っている」と分析した。
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