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[オピニオン]「ワタリガニを狙う海賊」

[オピニオン]「ワタリガニを狙う海賊」

Posted May. 26, 2006 03:02,   

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「身土不二」否「身海不二」と言うべきだろうか。カニは、宗教的な理由でタブー視する一部の国家を除けば、世界の人々が好んで食べる海産物だ。しかし、味や形、名称において、韓国のワタリガニのように魅力的な種は珍しいようだ。アラスカで獲れるキングクラブは、大きくて肉質も弾力があるが、ワタリガニ特有の風味には及ばない。アメリカやオーストラリアなどで獲れるブルークラブも、食感で劣る。オホーツク海で獲れるタラバガニには、足1本が大人の腕ほどの大きさのものもある。味は別として、エイリアンを連想させるような大きな体が、何となく負担である。

◆ワタリガニがなかったら、99年6月の延坪(ヨンピョン)海戦と02年6月の西海(ソへ・黄海)交戦は発生しなかったかもしれない。韓国と北朝鮮の海軍でそれぞれ死傷者が発生した2度の交戦は、いずれもワタリガニの季節を迎え、北朝鮮側の漁船を取り締まる北朝鮮の警備艇が、西海上の北方境界線(NLL)を越えて韓国の領海を侵犯したために発生した。南北はその後、ワタリガニの季節になると、海上での偶発的な武力衝突を避けるために、神経を尖らせる。

◆ワタリガニ漁の中心地である延坪島の漁民たちは最近、中国漁船の不法漁労のために、ため息ばかりついているという。中国の漁船が海賊のように、毎晩NLLを越えて、ワタリガニを一気にかっさらっていくにもかかわらず、韓国政府がしっかりと取り締まらないためだ。軍事地域という理由で韓国漁民の操業は制約しながら、中国漁船は取り締まらないため、他人に得をさせている格好である。さらに今年は、最悪の凶漁まで重なり、その心境はいかばかりか。

◆海洋水産部所属の漁業指導船「無窮花(ムグンファ)」号には、23日から中国公務員3名が乗船して、韓国側関係者と共に、NLL付近で中国漁船の不法操業の実態を調査している。韓中両国が共同巡視による不法操業の阻止に合意したことによる。海洋警察と海軍もそれなりに苦労はあるが、漁民のために最善を尽くしてもらいたい。漁民たちから「独島(トクト、日本名:竹島)は韓国の領土だが、延坪島は中国の領土」というため息が出るようではいけない。

韓起興(ハン・ギフン)論説委員eligius@donga.com