●運命的な出会い
95年当時、チョン教授は骨が必要な時、患者の尻骨や病院に保管された他人の骨、化学処理した小骨などの「生体」の骨を移植することに依存していた。
しかし、生体骨を手に入れることが難しいうえ、合併症や拒絶反応などの副作用が少なくないという問題があった。
チョン教授は「それならば人工骨を直接作ろう」と決心した。そして、診療を中断して、ソウル大学医学部の博士課程に進学した。
彼が最初に訪れたのは、ソウル大学材料工学科のホン教授の研究室。
チョン教授の「意志」をくみ取ったホン・グクソン教授は、チョン教授の師匠であるソウル大学医学部の李春基(イ・チュンギ)教授を訪ね、人工骨の共同開発の意思を伝えた。2人は成功するまで共に研究することにした。
すぐに研究プロジェクトが稼動した。医学部は骨のデザインと毒性および效能評価を、ホン教授チームは新素材と製造工程を引き受けた。
●うさぎの手術に没頭する医師たち
研究に没頭して5年目の00年、ついに「実験用」人工骨が作られた。人体に拒絶反応を起こさせない特殊材料(セラミック)に血管が入る微細な穴を作り、人工骨を作った。何よりも、セラミックの内部に血管の大きさの穴を作るのが大変だった。
砕けた骨の部位にセラミックを移植すると考えてみよう。移植後、周囲の正常な骨が成長して、くっ付かなければならない。この時セラミックの内部に血管が通れば、砕けた部位が確実に結合する。このため、セラミック内の穴は、血管が通る大きさに作れば効果的だ。
チョン教授は「最も先を進んでいるという日本の人工骨は、穴が小さすぎて、血管が通らない。穴の直径を均一に300ミクロメーター(1ミクロメーターは100万分の1メートル)にして、この問題を解決した」と話した。
動物実験は整形外科の医師たちの仕事だった。医者たちは「人よりうさぎの手術を多く行った」と言うほど、実験に没頭した。
●工学と医学の初の合作作品
ホン教授チームや、ソウル大学病院、三星(サムソン)ソウル病院、ソウル峨山(アサン)病院の整形外科の医師たちは、人工骨の開発のために、00年、ベンチャー会社「バイオ・アルファー」を設立した。ここに、テウン製薬が研究開発コストを支援した。
バイオ・アルファーが開発した人工骨「ボングロスHA」は、砕けた骨の部位に入れる「ボーン・チップ(Bone Chip)」や、擦れたせき髄ディスクに代わる「スペイサー(Spacer)」の2種類。
国内で、工学と医学が出会って成果を出した初のケースだ。現在、人工骨の市場規模は、国内1200億ウォン、全世界5兆ウォンと推算される。欧州では、全体の骨の移植分野で人工骨が占める割合は35%にのぼる。
ユン・ジェフン代表は「人工骨を先に開発した英国、フランス、日本の製品よりも性能がいいと自信を持っている。今年、国内市場を攻略し、来年から欧州に進出する計画だ」と話した。
開発の主役であるホン教授は、「歯科と耳鼻咽喉科で使われる新しい人工骨を開発中だ。バイオ産業が発展するには、何よりも工学と医学の協力が重要だ」と語る。
wolfkim@donga.com