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[社説]国民は、南北首脳会談の裏金を払う「カモ」ではない

[社説]国民は、南北首脳会談の裏金を払う「カモ」ではない

Posted May. 11, 2006 07:09,   

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盧武鉉(ノ・ムヒョン)大統領は一昨日、モンゴル訪問中に開かれた同胞懇談会で、「北朝鮮に多くの譲歩をしようと考えている」と述べ、「制度的・物質的支援を条件なしに行なう」ことを明らかにした。また、金大中(キム・デジュン)前大統領の6月の訪朝に対する期待感をほのめかし、「北朝鮮側といつ、どこで、何の内容を話してもいい」と述べた。事実上、「条件のない支援」を前提に、南北首脳会談を提案したわけだ。

これは、重要な方向転換だ。盧大統領は昨年7月、「南北首脳会談は、そのものが目的ではなく、北朝鮮核問題を解決し、南北関係を進展させる時に有效だが、まだそのような信号はない」と述べていたからだ。ならば大統領は、何か「信号」があって、このような発言をしたのか。そのことから、明らかにしなければならない。すでに「対北朝鮮闇取引」疑惑が提起されており、野党からは、「選挙を狙った新北風工作」という批判が強い。

国民は、金大中前大統領が00年の6・15南北首脳会談を成功させるために、同年3月のベルリン宣言を通じて、大規模経済支援を北朝鮮に提案し、5億ドルの裏金まで与えたことを忘れてはいない。金大中前大統領は、その見返りにノーベル平和賞まで受けたが、北朝鮮核問題は解決されず、国内の葛藤だけが深まった。にもかかわらず、再び同じやり方で南北首脳会談を提案したことは、国民を同政権の「北風興行」に裏金を払う「カモ」程度にしか見ていない限り、想像できない発想だ。

さらに、「内容が何であれ、議論できる」という内容は、6・15共同宣言に盛り込まれた北朝鮮側の「低い段階の連邦制」も議論できるという意味に読み取れる。しかし当時、金大中前大統領が、「北朝鮮の低い段階の連邦制と共通点がある」と提示した「南北連合制」は、金大中前大統領の個人的な「3段階統一案」の2段階であるに過ぎない。政界では、「金大中前大統領の訪朝で、連邦制論議に点火させた後、南北首脳会談と改憲を通じて、政権継続の基盤を固めようと考えている」という疑惑までも起こっている。

また盧大統領は、「韓米連合訓練は、北朝鮮が不安に思う多くの事情がある」と述べた。韓米連合訓練を「北朝鮮侵略用」と主張してきた北朝鮮の立場に、事実上共感を示したものだ。軍統帥権者である大統領が、韓米同盟の基底を揺さぶったわけだ。発言の影響がどれほど強いか、実に心配される。米国の立場では、対北朝鮮圧迫を中止しろという信号に読めることは明らかだ。盧大統領は、果たして韓米同盟が維持されることを望んでいるのか、問わざるを得ない。大統領がこうだから、平澤(ピョンテク)事態が起きて、軍人たちがデモ隊に殴られることが繰り返されるのだ。

いかなる場合であれ、対北朝鮮政策が、「民族優先」で包装された政派的利益の道具として使われてはならない。その災いを知りながら、盧大統領が誘惑にはまろうとする場合、国民的抵抗にぶつかることを自覚すべきである。