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[オピニオン]フィリピン人の家政婦

Posted February. 28, 2006 02:59,   

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「ここでは仕事を見つけるのが難しいです。何もしないとお腹が空くだけです」。米ワシントンポスト紙が伝えたフィリピン女性の嘆きだ。海外雇用センターの前で3時間も並んだという彼女は、韓国行きを望んでいた。仕事がなくて1日2500人ずつ離れる国。大学を卒業した専門職の女性もせいぜい保母か、それとも家政婦だ。そうやって1000万人が稼いで送るお金が、フィリピンを食べさせている。国内総生産(GDP)の12%、年の輸出額と匹敵する莫大な金額だ。

◆20年前に「ピープルパワー」で沸き立ったマニラ市のエドゥサ大路は、今は海外雇用センターがあるところとして、もっと有名だ。1986年、独裁者フェルディナンド・マルコスを追い出した後の希望と自信は、今は憤りと失望に変わってしまって久しい。01年にはもう一度、ピープルパワーが腐敗したジョセフ・エストラーダ大統領を追い出したが、現グロリア・アロヨ大統領も同じ疑惑で追い込まれている。もうフィリピン人は民主主義を「馬鹿のようなこと」と考えていると、外信は伝えている。腐敗や不正選挙より貧困に飽きているということだ。

◆不安な政治情勢は、フィリピン経済の足を引っ張っている。1898年に財産のある人にのみ選挙権が与えられたため、金権は地域土豪に集中された。政治家は政党よりはリーダーに気を使って、国利民富に目を向ける余裕がない。選挙費用を浮かすためには腐敗と脱税は必須のこととなった。マルコスを追い出した後の4年間、1000件の法律を作った議会が、01年から4年間はわずか76件を処理した。ピープルパワーが湧き出たのも政治が、国民を代弁しなかったからだった。

◆1950年代初めまでフィリピンの1人当たりの国民所得は韓国の3倍だった。今は韓国の3分の1ぐらいだ。政治が民生を疎かにするから、インフラは無茶苦茶で、税金も納まらず、政府負債は積もるばかりだ。内外の投資が生き返らないと、仕事は減ってしまう。お腹を空かさないためには、海外へ出稼ぎに行って家政婦でもするしかない。海外で苦しめられる「韓国人の家政婦」を作らないためには、政争に明け暮れる暇がない。

金順徳(キム・スンドク)論説委員 yuri@donga.com