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「二分法の歴史接近」を正す

Posted February. 09, 2006 04:30,   

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韓国社会、特に現政権勢力といわゆる386世代の現代史の認識に大きな影響を及ぼした『解放戦後史の認識』(解戦史)で象徴される「左派的歴史認識」の偏向性を乗り越え、現代史のバランスのとれた解釈を趣旨とする本が紆余曲折の末、8日、出版された。

『解戦史』歴史認識の左偏向性と二分法的接近を批判し、韓国現代史の理解の重層性と複合性、躍動性を強調する『解放戦後史の再認識』だ。

ソウル大学の朴枝香(パク・チヒャン、西洋史学)、李栄薫(イ・ヨンフン、経済史)、延世(ヨンセ)大学の金哲(キム・チョル、国文学)、成均館(ソンギュングァン)大学の金一栄(キム・イルヨン、政治外交学)教授が編集委員として参加した『解放戦後史の再認識』は、『解戦史』が、民族至上主義と民衆革命必然論に捉われているという問題意識のもと、これを克服する国内外の論文28編と編集委員の対談をまとめた。

朴枝香教授は序文で、「『解戦史を読んで、血が逆流した』という盧武鉉(ノ・ムヒョン)大統領の発言に報道で接し、韓国社会の歴史認識をこのままにしておくことは、歴史学者の『職務遺棄』だと思った」とし、「同書が、韓国社会に蔓延している歪んだ歴史認識を少しでも矯正するきっかけになることを願う」と述べた。

『解放戦後史の再認識』は、日本植民地支配期の朝鮮と光復(クァンボク、独立)後の親日清算問題を扱った第1巻(論文15編、780頁)と、光復後の分断や韓国戦争の責任、李承晩(イ・スンマン)政権に関する評価を扱った第2巻(論文13編と編集委員の対談、696頁)とで構成されている。

筆者の中には、『解戦史』に深刻な影響を及ぼした修正主義歴史学者ブルース・カミングス米シカゴ大学名誉教授の夫人であるウ・ジョンウンミシガン大学政治学科教授、『解戦史』の筆者の李完範(イ・ワンボム、政治学)韓国学中央研究員教授や辛炯基(シン・ヒョンギ、国文学)延世大学教授もいる。

同書は、内容に劣らず、企画と出版の過程で、韓国の知識人社会が理念と非知性的な偏見から決して自由ではないことを確認させた。

同書の編集委員たちは当初、「『解戦史』の歴史認識のバランスを正すために、政治色を排し、客観的に学問的成果が認められる論文だけを厳選する」という原則を掲げた。

しかし、筆者選考の過程で、多くの学者が寄稿を避けた。

朴枝香教授は、「準備過程で、外国で発表された優れた論文を載せようとしたが、断られたケースがあった。研究者が、国内の反応とムードを憂慮したためだ」とし、「事実を事実として探求する研究すら脅威を受けているのが実情だ」と対談で明らかにした。

最近、あるメディアが、「歴史研究は特定の理念や政策的目標の手段として使用されてはならない」という『解放戦後史の再認識』の発刊趣旨を無視し、「ニューライト版解戦史」と報道した。これに対し筆者らは反発し、同書が印刷されて出版できるまで、メディアとの接触を拒否してきた。

現代史に関する限り、左派的歴史観が勢力を得、聖域のように君臨している知識人社会の屈折した断面は、同書の出版過程でもうかがえる。同書は04年11月、本紙がその出版企画の知らせを初めて報道して以来、学界や出版界の焦眉の関心事だった。しかし当初、出版予定だった出版社から、2度もボイコットにあった。

昨年初め、出版意思を明らかにしたある出版社は、企画過程で、「政治色があまりにも明確なため、進歩的見解を維持してきた同社の基調と合わない」とし、出版を拒否した。また、他の出版社は、出版契約までしておきながら、本が出版される半月前に、突然これを覆した。一部の編集委員の反対で、同書の出版をあきらめた他のある大手出版社の関係者は、「異例のことだったが、一部の編集委員が歴史解釈に同意できないと反対した」と伝えた。出版界では、これら出版社が、民族主義と統一至上主義の性向が強い歴史学の筆陣を意識して、出版を拒否したといううわさが流れた。



confetti@donga.com