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北朝鮮漁師のロシア非難

Posted January. 28, 2006 04:08,   

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今年1月2日。各漁村に労働党から指示が出された。「トロレギ(原動機をつけた木船)は海に出るな」。ただし、櫓を漕いで行くことはできる。最近10年間、トロレギは、北朝鮮で主要漁船の役割を果たした。3、4人乗りの長さ5メートル程度の船に、4〜5馬力の機関を装着したトロレギは、東西海岸に数万隻ある。たびたび遭難して韓国側に流れてきたりする。大きな船はコストが合わず、ほとんど稼動ができない。

咸鏡北道羅先市(ハムギョンプクド、ナソンシ)の漁師、李ソンジュ氏は、党から指示が出されると「これはロシアのやつらのせいだ」と言って憤慨した。李氏は、一昨年まではよく稼ぐ漁師だった。自前のトロレギもあり、操業技術もよく、毎年1000ドル以上稼いだ。春と冬はタコとウニ、夏と秋はイカを獲る。いい大学を出た妻もいる。

命をかけた職業ではあるが、最近の北朝鮮で漁師ほど高所得の職業もない。韓国で言えば医師ほどの人気がある。北朝鮮の3大長者は、「幹部、漁師、未亡人」だそうだ。「未亡人」というのは、夫のいない女性たちのほうが、むしろ商売でお金をたくさん稼ぐという意味だ。

外国に、もっとも手軽に売れるのが水産物であることから、「北朝鮮の資本主義化」は漁業からまず始まった。1年の収入を左右するイカだけみても、ソウルで取り引きされる価格の30%ほどで売れる。収益の10%ほどを所属機関に納めるが、北朝鮮に、このレベルの収入をあげることができる職業はほとんどない。それに外貨稼ぎの各機関が互いに価格をつりあげて水産物を買っていく。そのため、漁師たちは花婿としても人気が高い。

そんな李氏の人生が、昨年「ロシアのやつら」のせいで狂った。7月にイカ釣りに出て、時化のためウラジオストクまで流されたが、ロシアでは彼をスパイのように扱った。「こんな船に乗って、どうやってここまで来たのか」とからかわれもした。収容所へ行ったら、すでに数十人の北朝鮮の漁師が抑留されていた。

ロシアが抑留した猟師の名簿を渡すと、北朝鮮当局は家族に「ロシアに罰金50万ウォン(当時約200ドル)を払わなければならない」と通知した。李氏は家族が罰金を払った後に帰って来ることができた。

去年12月、李氏は北朝鮮の海岸警備隊がロシアの貨物船「テルネイ」号を領海侵犯の疑いで抑留したという話を聞いた。李氏は気分がよかった。「よくやった。俺たちと同じ目に合わせてやらなくちゃ」。

李氏は、新年早々からトロレギ禁止令が出されたのもロシアのせいだと思う。罪のない漁師たちがやられっぱなしなのは悔しいが、当分は櫓を漕いでタコを獲るしかない。



zsh75@donga.com