政府は、北朝鮮の偽ドル札製造および流通疑惑に関する米国との協議内容を公表せず、米国が主導する大量破壊兵器(WMD)拡散に対する安全保障構想(PSI)と関連する主要決定事項も隠していたが、それが米国政府と与党議員によって公表されるという事態が起った。
これに対して、行き過ぎた「北朝鮮へのご機嫌うかがい」という指摘や、韓米間の認識の相違が深刻だという憂慮が出ている。
●米大使館、「北朝鮮が不法金融活動の主犯」
在韓米国大使館は24日、米財務省でテロ関連資金や金融犯罪の調査などを担当するダニエル・グレーサー財務副次官補が23日に韓国の政府関係者と会って、「韓国はWMD拡散の主犯とそれを助ける支援網を財政的に孤立させることに、もっと尽力してほしい」と要請したことを明らかにした。
米大使館は報道資料を通じて、「グレーサー副次官補は、北朝鮮の不法活動を含む全世界的な金融の脅威を、金融機関に警告する米国の努力を説明し、韓国も同様の措置を取るよう要請した」と伝えた。
さらに米大使館は、グレーサー副次官補が、「北朝鮮政府主導の不法金融活動やマネーロンダリング、テロ団体の資金調達、その他の金融犯罪取り締まりに向けた国際的努力を(韓国政府と)集中的に論議した」とし、北朝鮮当局が不法活動の「主犯」であることを明確にした。
しかし韓国政府は、米国側と協議した23日はもとより、米大使館が関連内容を明らかにした24日にも、米国との協議内容を公表しなかった。
一方、23日、スイスのメディアによると、スイスの世界的な銀行のクレディ・スイス・グループは、北朝鮮とイラン、シリアとの新規取り引きを許可しないという方針を明らかにした。これら3国は、米国政府によって「ならず者国家(Rogue State)」と名指しされた国々だ。
これをめぐり、北朝鮮等に対する国際的な金融圧迫が本格化されるのではないかという観測も出ている。
●政府、昨年末にPSI協力をすでに決定
PSIと関連して、政府は昨年12月29日に国家安全保障会議(NSC)を開き、北朝鮮をターゲットにしたPSI活動への協力を拡大することを決めた。
政府は、既存の韓米合同軍事演習である乙支(ウルチ)フォーカスレンズでWMD遮断訓練を実施してきたのに続き、△域内外のWMD遮断訓練に参加団を派遣し、△PSI会議結果のブリーフィング聞き取りなどを追加で実施することを決め、10日、米政府に公式に伝えた。
政府はこれらの内容を公表しなかったが、24日、ヨルリン・ウリ党の崔載千(チェ・ジェチョン)議員がインターネット・メディアのオー・マイ・ニュースで明らかにしたため、一足遅れて公表した。
PSI問題や対北朝鮮金融制裁などは、北朝鮮が敏感な反応を示す事案であり、今後の6者協議にも少なからぬ影響を及ぼすものと見られる。
●Proliferation Security Initiative(PSI=拡散に対する安全保障構想):陸・海・空で、核や生物化学兵器、ミサイルなどのWMD関連物質および部品を不法輸送する船舶・車両・航空機を検問・検索を通じて遮断するという構想で、米国の主導で全世界約70ヵ国が参加している。
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