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[オピニオン]脱北女性の動画

Posted September. 30, 2005 08:12,   

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ある女性がひざまずいている。腕章をつけた北朝鮮軍人が、棒で女性を殴る。女性が倒れると、足蹴にして、足で女性の頭を踏みつける。さらに、北朝鮮軍人が女性を尋問する姿、女性を再び足蹴にするシーン…。26日、メディアに公開されて捏造問題を起こした「脱北者暴行写真」14枚を時間帯別に見た内容だ。

◆写真の捏造や演出を主張した側は、北朝鮮軍人の髪が長いという点、腕章の位置が右腕から左腕に変わった点、事件発生の時期が8月なのに、女性が長袖の服を着ているという点をその根拠に挙げた。しかし、写真を公開した側は、「国境警戒所に勤務する北朝鮮将校が、隠しカメラで撮ったもの」で、その将校は、身の危険を感じて、最近、脱北までしたことを明らかにした。これらの写真は一部に過ぎず、38分の動画全体が公開されれば、実際の状況であることがすぐに明らかになるという。

◆北朝鮮の人権の惨状を告発する証拠をめぐり、「捏造問題」が起ったのは、今回が初めではない。1月に反体制の落書きが書かれた金正日(キム・ジョンイル)総書記のポスター写真が公開された時、3月に北朝鮮住民に対する公開裁判と処刑(銃殺)シーンが、隠し撮りされたビデオテープで紹介された時も、「捏造だ」という主張があった。北朝鮮が、最低限の人権も保障されない所だということぐらいは、だれもが知っているにもかかわらず、なぜしばしばこのような主張が出されるのだろうか。「事実はどうでもいい。見たいことだけを見て、信じたいことだけを信じる」という歪んだ北朝鮮観のためだろうか。

◆脱北8年ぶりに故郷に戻ろうとして捕まったというその女性のかばんの中には、中国の金1万元(約128万ウォン)や酒、タバコ、韓国映画や歌のCDなどが入っていたという。それだけの金があれば、北朝鮮の家族がしばらくは楽に暮らせるだろう。酒とタバコも様々な用途に使われ、数枚のCDは、外の世界を見せてくれる窓の役割をしただろう。彼女は、殴られて踏みつけられることよりも、家族を喜ばせたかったその夢が消えたことに、胸を痛めたのではないだろうか。

宋文弘(ソン・ムンホン)論説委員 songmh@donga.com