Go to contents

[オピニオン]岩字

Posted March. 08, 2005 22:48,   

한국어

何年か前、金鋼(クムガン)山へ行った時、北朝鮮政権に感謝の気持ちを感じた。世界的な名山をこれほど守りぬいてくれたという思いからだった。しかし、岩のあちこちに刻まれている金日成(キム・イルソン)、金正日(キム・ジョンイル)親子の語録と宣伝文句は玉に瑕だった。金鋼山だけ80ヵ所に4500字余りが刻み込まれているという。北朝鮮が02年2月、「指導者同志」の60回目の誕生日を迎え、金鋼山バリ峰に刻み込んだ「天出名将金正日将軍」は字一つが最大横25メートル、縦34メートル、深さ1.5メートルもある。

◆昔の人は全国の名山や渓谷の岩に自分の名前と文句を刻んだ。ソウルの山や渓谷にも、昔の人が刻んだ80余点のもっともらしい岩字が残っている。自分の名前の三字を千年万年残せると思ったからだ。金鋼山のようなところは、石工が居ついて山に登る人を相手に客を呼び込み、商売をしたとも言われる。そのためなのか、字体が決まっている。

◆しかし、大儒学者の南冥・鉠植(ナムミョン、チョ・シク)先生は、「男の名前は史官が本に記録しておき、広い土地の上に住んでいる人々の口によって取りざたされるべきであって、岩に名前を刻むのは飛び回る鳥の影にも及ばない」と叱りつけた。大韓帝国の末期、『東行山水記』という探勝記の傑作を残した李象秀(イ・サンス)も、「先人の名前を削って自分の名前を刻むのは、人の墓を崩して自分を埋めることと同じだ」と言った。岩や木に名前を刻んだ人は、その代わりこの世に名前が伝わらないという言葉もある。

◆北朝鮮の朝鮮中央テレビが最近、北朝鮮の岩字と綱にぶら下がって金日成親子の語録を刻む姿を報道した。南では「たった」18年在任した大統領が書いた親筆の懸板も交替しなければならないと大騒ぎしたり、斧で叩き壊したりしているのに、北では代を繋いで60年近く政権を握っていても、忠誠心が溢れる。しかし、字を刻む北朝鮮の住民らは、本当に心から喜んでこんなことをしているのだろうか。統一後にも北の岩字は、そのまま残っているだろうか。

呉明哲(オ・ミョンチョル)論説委員oscar@donga.com