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[オピニオン]鍾路交差点とタイムズスクエア

[オピニオン]鍾路交差点とタイムズスクエア

Posted January. 16, 2005 23:04,   

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韓国の新年は鍾路(チョンノ)交差点から明ける。大晦日の夜の闇の中、普信閣(ポシンガク)の鐘が鳴りはじめると、10万の人出と数百万のテレビ視聴者の目と耳がここに集まる。この瞬間だけは、皆の心が一つになって、去る年を見送り、来る年を迎える。それと共に、お正月に忘れていた実家にでも訪れるかのように、江南(カンナム)に押され、「ソウル嫌悪」によって肩身の狭い思いを強いられている江北(カンブク)のある交差点の存在を、改めて意識させる。

◆米国の新年はニューヨークのタイムズスクエアから始まる。ブロードウェイ、7番街が交差するマンハッタンの一帯だ。数十万の人出がカウントダウンを叫ぶ中で、ニューヨークタイムズの旧社屋から明るく灯されたガラスのボールが降りてきて、年が明けた瞬間、シャンパンを開けキスを交わす。わが国のように偉い人による厳粛な「新年の辞」はない。その代わり、にぎやかなストリートパーティーが一晩中続く。

◆新年を迎える内容と舞台は異なっても、両方とも時間と空間、自己と共同体が一体となる強烈な瞬間を味わえる。現代人には珍しい経験だ。速度と変化と移動性の中毒になっている現代人は、走る列車の中の乗客のように、物事を流れとして理解する。場所は車窓越しに通り過ぎていく曇った風景に過ぎず、都市空間は一坪当たりの値段としか認識されない不動産であるだけだ。しかし、この集団的な通過儀礼の現場で、空間の固定性は時間の流動性を浮き彫りにし、時間の流動性はまた空間の場所性を増幅させる。

◆デジタル時代にも伝統の場所を舞台にして年明けイベントが行われるのは示唆的だ。情報革命は空間的な分散を促すと同時に、放置されてきた都心に人と金を引き寄せ、それを「蘇生」させる。タイムズスクエアは庶民密集地域からエリートのオフィス街に変貌した。鍾路通り周辺でも超大型の再開発事業が推進されている。しかし、ニューヨークの事例からもみられるように、「都心蘇生」がもたらす影は長くて寒い。中間階層の仕事が減り、所得が両極化する。開発の光に惑わされ、その光が生み出す影を見逃さないよう当局に願いたい。

康泓彬(カン・ホンビン)客員論説委員(ソウル市立大教授)hongbinkang@hotmail.com