●アレキサンダー役のコリン・ファレル
「スタントが必要なシーンも90%は直接演技しました。面白かったからです。」
コリン・ファレル(27)は顔に紅潮を帯び、手にワイングラスを持って現われた。上着のボタンを三つ開けた彼の胸には、「軍認識票」スタイルのネックレスがぶら下がっていた。
−アレキサンダーという主人公は気に入りましたか。
「アレキサンダーは人間として完璧なアイロニーです。リーダーとして、そして征服者として最も理想的な男の典型ですが、果して自分の生に満足したんでしょうか。」
−数多くの戦闘シーンを撮影していたら、鎧の重さも負担になったと思いますが。
「苦労はしました。陸路だけ計算しても、昔のアレクサンダーの遠征の途に劣らない長距離を歩き回ったんです。しかし、撮影用鎧は昔よりすごく軽くなったそうです。技術が発展して、ありがたいですね。」
ファレルは、『マイノリティ・リポート』で主人公を追う検事のウィットワー役として出演して大衆の目を引いた俳優。03年封切られた『フォーン・ブース』(ジョエル・シューマーカー監督)では、公衆電話ブースに閉じ込められたまま、狙い撃ちの脅威にさらされる主人公スチュ役で確固とした地位を構築した。
●オリンピアス役のアンジェリーナ・ジョリー
アレクサンダーの母、オリンピアス役に扮したアンジェリーナ・ジョリー(29)は、予想より物静かでおとなしそうに見えた。ややシースルーな黒いティーシャツと身体にぴったりのジーパン姿の彼女からは、『トゥームレイダー』などの前作で見た活力より、もっと成熟した感じがした。
「古代ギリシアでは、女性は子供を生む『通路』の役割しかできなかったのです。権力の味が分かる女性が主人との葛藤に悩まされると、『オリンピアス』のように異常に子供に執着するようになったはずです。」
映画の中でオリンピアスはいつもヘビと一緒に過ごす。歴史書を考証したこの描写は、冷酷さと沈着さを愛するオリンピアスの性格を象徴することでもある。
「怖かったです。飼育士に『蛇にエサをいっぱい食べさせて、お腹が空かないようにしてください』と何度も要請したぐらいですから。ある日、飼育士が『適応が必要だ』と言って、私の頭の上に多くの蛇を降り注いだことがあります。今は、蛇を愛するわけではないけど、『理解』はします。」(笑い)
映画監督兼俳優のビリー・ボブ・ソーントンと昨年離婚し、現在、カンボジアの子供、マドックスを養子にして育てている。
●映画『アレキサンダー』は
複数の政治勢力が地中海とオリエントの版図をめぐり競い合っていた紀元前4世紀、マケドニアの君主であるフィリップに息子が生まれる。フィリップとの葛藤に苦しんでいた王妃オリンピアスは子供に執着し、「平穏な生の代わりに、業績と名誉を追い求めなさい」と説得する。父王がいきなり被殺され、王位を受け継ぐことになったアレキサンダーは、征服の野望と理想を実践に移すのだが…。
2億4000万ドルの製作費をかけ、1万430人の軍人エキストラたちを動員し、海抜3000mの絶壁の上に要塞セットを再現した同映画は、撮影期間だけでも3年がかかった。フィリップ役のヴァル・キルマー、アレクサンダーの師匠であると同時に同志のトレミ役のアンソニ・ホプキンスなど、助演級配役も優れている。
『JFK』や『7月4日にうまれて』など社会性の濃い映画を作って来たオリバー・ストーン監督が演出。韓国では12月末に封切り予定。
劉潤鐘 gustav@donga.com