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「韓国」を捨ててこそ韓国経済が生きる

Posted October. 29, 2004 23:11,   

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マッキンゼー、ボストン・コンサルティング・グループとともに世界3大戦略コンサルティング会社に数えられる「ベイン・アンド・カンパニー」のグローバル・ディレクタであると同時に、「ベイン・アンド・カンパニー・コリア」の代表である著者(42)は、三星(サムスン)電子の実際株価が対等な水準の海外企業らより平均30%ぐらい低く取り引きされていることに注目する。実際価値より低評価されるこのようなディスカウント現象は、三星電子のような看板企業だけでなく、「韓国株式会社」全般にわたって起きていると著者は指摘する。

この本は、最近10年間韓国の100社あまりの企業と政府機関で勤めながら、その内部事情を把握して来た著者が、「韓国ディスカウント」現象の原因を分析した内容を盛り込んだものだ。小学校時代米国に移民した韓国系米国人で、両国の文化にともに接してみた彼が、時にはとても直説的に、時にはとても辛らつに韓国社会に向けて苦言を投げる。

○リーダー・・・韓国のリーダーたちはアパート警備員か

「私はこの国のオピニオン・リーダーという人々に対して嘲笑を禁じえない。」いわゆる教授や専門家たちは1994年、三星が自動車産業を始めた時は何も言えずにいたが、1997年外国為替危機が訪れると、一斉に批判し始めた。クレジットカードを濫発する時は静かにいたのに、「カード大乱」が起きると、猫も杓子も声を高めて批判した。彼らにできるのは後の祭りしかないというのだ。

専門家と自称する人々に対する「嘲笑」は、大企業の役員たちに対しても同じだ。金融分野でだけ20年間勤めたというある大企業の最高金融責任者(CFO)は、実は現金流通と信用貸し付け管理だけが専門だった。新しい金融技法に対しては真っ暗だった。役員になった後、勉強を全然しなかったのだ。このような非専門性は大半の企業の役員たちにも当たる。著者は言い切る。「彼らはアパート警備員みたいだ。リスクを最小化する管理に重点を置くだけで、利潤を出す経営はできない。」

○企業・・・「甲」の一言で不可能はない

著者はこのような役員たちの非専門性は、韓国企業の風土から生じたものだと思う。甚だしくは三星グループでさえ、三星電子だけが中核的役割をするだけで、他の系列社はこれといった実績を出せないでいる。大半の財閥は、傘下20〜30社のまあまあな企業らが、中核的役割をする企業の利潤を吸い取っているというのだ。また、有能な役員たちにまともな補償をするのでもない。職員対比最高経営者(CEO)の年俸の割合は、世界で日本の次に低い。

過程が間違っていても結果だけ良ければ良いという、原則から外れることは茶飯事だ。クレジットカード会社に投資して被った損失を、リスクの非常に高い債券に投資して挽回した幹部をかばう、その企業のCEOを見て、著者は唖然としてしまう。原則が無視される過程は、他ならぬ「透明性」というグローバル・スタンダードの毀損を意味する。

大企業は中小企業に対し、いつも「甲」(契約の主導的当事者)の位置で横暴を振るう。「乙」(契約の従属的当事者)企業の内部状況と与件に対する思いやりはほとんどない、とても不公正な慣行が蔓延している。著者は、「ビジネスの世界は冷酷だが、冷酷と不公正は決して同じものではない」と言い切る。

○政府・・・信じられるのは天気予報だけか

著者は、韓国政府から「NATO(No Action Talk Only・実践はしない言葉だけ)」現象の典型を発見する。現政府が発足してから今後5年間施行する政府の100大政策を評価する過程で、著者は金泳三(キム・ヨンサム)、金大中(キム・デジュン)政府発足初期の100大政策とほとんど変わりがないことを知る。10年あまりの間、約束ばかりしただけで、実践はほとんどしなかったのだ。

世界金融、物流、繊維などの中心地にするという宣言は相変らずだ。金泳三政府から進められた「外国人直接投資誘致」実績は、すでに東南アジアより後れている。観光客誘致10年計画はどう進捗しているのかさえ知らない。水害は毎年、同じ地域で繰り返されるが対策はなく、教育は「改革」だけを繰り返す。著者は「果てしなく繰り返されるタイムマシーンの軌道の中に閉じこめられたような気分」と表現する。

○評価・・・韓国株式会社が枯渇しつつある

組職の成敗を決める要素である戦略、組職構造、リーダーシップ、プロセス、人的資源、文化で「韓国株式会社」をコンサルティングした結果、7点満点で3点(100点満点で42.8点)が出た。全ての韓国民が移民にでも行かなければならないほどに悪くはないが、韓国が加入した先進国の集まりである経済協力開発機構(OECD)の水準には達っしていないというのが著者の冷静な判断だ。

著者は今後、韓国産業構造の成長動因は、高知識集約型サービス業および製造業分野だと展望する。また、本で指摘した韓国ディスカウントの原因を早く取り除き、社会全体が変化しなければならないと指摘する。

この本は、これまで「韓国病」を扱った多くの本と別に違わないかも知れない。しかし、1人当たり国内総生産(GDP)2万ドルに向けて走っている我々としては、「韓国株式会社の持った時間は枯渇しつつある」と言う著者の警告は肝に銘じても良いはずだ。



閔東龍 mindy@donga.com