病気と妊娠を防ぐためのコンドームの歴史は、数千年前にさかのぼる。紀元前１０００年前にエジプト人が、今のような形のコンドームを使っていた痕跡が残っている。ローマ人もヤギの膀胱をコンドームとして用いたという記録がある。中国人は油塗りのシルクを使っていた。便利で広く使われている大衆的なコンドームが登場したのは、１９世紀にゴム製のコンドームが開発されてからだ。伝説のプレーボーイのカサノバも避妊のため、コンドームを愛用していたという。
◆「コンドーム」という名前の由来については、議論が多い。この器具を初めて考え出した英国チャールズ２世（１６３０〜１６８５）の宮廷医の名前である「コンドーム」に因んで名付けられたという説がある。チャールズ２世は、梅毒から自分を守ってくれる器具の開発を宮廷医に命じた。宮廷医は羊の内臓に油を塗った覆いを創り出した。しかし、「器」の意味を持つラテン語の「コンドゥス（ｃｏｎｄｕｓ）」から由来したという説が有力だ。
◆韓国エイズ退治連盟は、今月からエイズ予防のため、コンドームの使用を呼びかけるテレビ広告を始めた。テレビ広告にコンドームが登場したのは初めてだ。世界中に４０００万人のエイズ感染者がおり、韓国にも約２１００人いる。潜在の感染者を含めると、５０００人に上るものと、当局はみている。エイズ退治連盟は、恥ずかしくてなかなか言えない「コンドーム」に代わる韓国語の名前を公募している。応募には、「コチュジャンガプ（唐辛子の手袋の意）、「コカルモジャ（とんがり帽子の意）」、「チキミ（ガードの意）」など、ユニークな名前が目立つ。コチュジャンガプのジャンガプ（手袋の意）は手にはめるものだから、足にはく長靴はどうだろう。
◆韓国でエイズ拡大の阻止に大きく役立ったのは、風俗営業の従業員に強制した保険証制度だといわれている。しかし、売春禁止で保険証制度がなくなる運命になっている。池銀姫（チ・ウンヒ）女性部長官は、１７日発行の「新東亜（シンドンア）」１１月号のインタビューの中で、保険証制度の廃止によるエイズ拡大の恐れがあるとの指摘に対し、コンドームの使用を強調した。エイズ感染の恐れのあるセックスをしながら、コンドームを使わないことは、自殺行為同然ということだ。池長官が「ミニスター（長官）コンドーム」になるのでは。
黄鎬澤（ファン・ホテク） 論説委員 hthwang@donga.com
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