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[オピニオン]イシモチの干物の箱

Posted August. 31, 2004 22:33,   

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韓国社会では、「封筒」「箱」「かばん」が本来の意味を忘れて久しい。ワイロを象徴するメタファーであるわけだ。実名制とともにワイロの単位が大きくなり、「封筒」が消えて「箱」と「かばん」が脚光を浴び始めた。最初はケーキ箱に数十万〜数百万ウォン台の小切手を入れるのが普通だったが、徐々にラーメンまたはリンゴ箱に、そして各種のかばんに億台の現金を入れる段階に発展した。ワイロ罪で処罰された公務員から追徴される追徴金が1年平均100億ウォンを越えると言うから、摘発されてないワイロの金額は一体どの程度になるのだろうか。

◆各種の捜査結果によると、ショッピングバッグは3000万〜5000万ウォン、アタッシュケースは1億ウォン程度を入れることができる。リンゴ箱は2億〜3億ウォン、ゴルフかばんは3億〜4億ウォンが入る。大型旅行用のかばんには4億〜5億ウォンが詰められる。ワイロに慣れた人は、箱やかばんだけ見ても、いくら入っているかが一目で分かるという。前回の大統領選挙資金捜査のとき、ある財閥企業が2.5t車には現金150億ウォンを積むことができることを見せてくれたし、他の財閥企業は112億ウォン分の債券が月刊誌大に包装できると言う事実を教えてくれた。

◆安相洙(アン・サンス)仁川(インチョン)市長が海外出張中、同じマンション団地に住む妹の家に配達されたイシモチの干物2箱の中に、イシモチの干物の代わりに現金2億ウォンが入っていたという。市長の妹の家にワイロを送った「用意周到さ」、秋夕(チュソク・旧暦8月15日)を控えて法事用品かのようにイシモチの干物の箱を送った「時宜性」、そして誰が送ったのかを表示しなかった「匿名性」など、ワイロの3拍子をすべて取り揃えている。何よりも驚くべきことは、イシモチの干物の箱をワイロ伝達用器に使った「独創性」だ。

◆今は貴重な魚になったが、イシモチの干物は過去、チャリンゴビ(けちくさい人)の象徴だった。朝鮮(チョンソン)王朝時代の英祖(第21代王)のとき、忠清北道陰城(チュンチョンプクド・ウムソン)に暮していたチョルクという人が、イシモチの干物を天井にぶら下げておいてはご飯一さじ食べて、さらにイシモチの干物を見上げては一さじ食べたという「イシモチの干物」のエピソードが、チャリンゴビの語源の一つだ。冷や飯に水を入れてイシモチの干物一切れで食事を済ませた時代もあった「庶民の魚」だったが、どうして「2億ウォンの魚」になったのだろう。イシモチの干物に何の罪があろうか。多くの国のうち、韓国の近くで獲れたということで、そんなひどい目にあっているだけだ。

呉明哲(オ・ミョンチョル)論説委員 oscar@donga.com