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[オピニオン] 復讐血戦

Posted February. 02, 2004 00:44,   

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「胡」の姓を持った中国のある青年(27)が20年間、血の滲むような努力で武術を磨いて、7歳の時に父を殴って死なせた敵の一家3人を無惨に殺害したという。今度の旧正月に中国四川省で発生した事件だ。事件発生後、青年の家を捜索した警察は「臥薪嘗胆(仇を報いるために辛い思いをする)」「復讐をしなければ男ではない」「血で敵の家を浸せよ」という内容を見つけたという。まるで中国武侠映画の一場面を見るような感じだ。

◆親と先生または恋人を死に追い込んだ敵に対する復讐は昔も今も幾多の文化芸術作品によく登場するテーマだ。『モンテ・クリスト伯爵』『ロミオとジュリエット』『黒猫』のような文学作品とヴェルディのオペラ『リゴレット』、日本の歌舞伎『47人の浪人』などが復讐を素材にした名作だ。映画の場合、イングマール・ベルイマンの『処女の泉』をはじめ、『メメント』『キル・ビル』『ギャング・オブ・ニューヨーク』など有名な外国映画と『オールドボーイ』『復讐は私のもの』など韓国の話題作などが惨めな復讐劇だ。

◆最近になっては復讐の方式と様態がさらに組織化、集団化、巨大化されている。アルカイダの9・11同時多発テロと米国のイラク占領は文明対文明の復讐劇、鳥インフルエンザと狂牛病は人間に対する動物の復讐血戦に違いない。地球温暖化に代表される環境の逆襲も無分別な開発に対する自然の復讐だ。過去の政権で行われた「歴史立て直し」と「税務査察」、そして現政権が図っている「支配勢力の入れ替え」も、時代と理念に対する一種の復讐劇だ。しかし復讐はまた他の復讐を呼ぶに決まっている。

◆賢者たちは「目には目」のような復讐をレベルの低い復讐と考えており、許しと愛を最も高いレベルの復讐と評価する。しかし平凡な人々が選択することができる最も現実的な復讐は「無視」だ。捨てられた女性より、もっと惨めな女性は忘れられた女性である。ユダヤ人の知恵が盛り込まれている『タルムード』には「よく過ごしなさい。それが最大の復讐だ」と書いてある。感覚の鬼才である日本の小説家、村上竜が「私をいじめた人々に復讐することは、唯一私が幸せに過ごすことだ」と言ったのも、同じ脈絡だろう。

呉明哲(オ・ミョンチョル)論説委員 oscar@donga.com