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[オピニオン]両甲

Posted January. 30, 2004 23:21,   

한국어

2人は手を取り合って全力を尽くした。目標はひとつ、「先生」の成功だった。兄貴分は前から引張り、弟分は後ろから支えた。数々の苦労を嘗めながらも、希望を捨てなかった。苦労は報われた。3転4起だった。ついに「先生」は大統領になり、2人は感激の涙を流した。権勢の時代が訪れた。ヒトとカネが群がった。あらゆる誘惑が周りを囲んだ。「常に一心同体」であった2人の間の溝は、次第に深くなっていった。権力を前にしては、親子の区別もないというけれど…。

◆権魯甲(コン・ノガプ)元民主党顧問と、韓和甲(ハン・ファガプ)議員。「両甲」と呼ばれる2人は、金大中(キム・デジュン)前大統領の、名実ともに最側近であった。権元顧問は、常日ごろ、自分が死んだら墓碑に「金大中先生秘書室長」と書いてほしいとまで言っていた。韓議員は、政治スタイルがDJ(金大中前大統領)に似ているとして「リトルDJ」とのニックネームまで付けられ、これをもとに、湖南(全羅南道)政治の看板役に躍り出た。ところが、権力の重心が傾き、堂々としていた2人のパワーも、一挙に下り坂をたどった。

◆折悪しく、2人の不幸は、同じ日(29日)にやってきた。現代(ヒョンデ)グループから200億ウォンを受け取った疑いで裁判を受けている権元顧問は、一審公判で、法定最高刑にあたる懲役5年、追徴金200億ウォンの判決を言い渡された。韓議員は、民主党の大統領候補選び選挙と党代表選挙の際、10億ウォンあまりを受け取った疑いで、事前逮捕令状が請求された。権元顧問は「これは何かの間違いだ。神様はご存知のはず」だとして憤慨し、韓議員は「私の生きてきた道が、こうして終焉を告げることがもどかしい」と話したという。

◆言いたいことが多いようだ。党代表選挙で敗れた者しか捜査していないという、韓議員側の不満の声にも耳を傾ける必要があるようだ。しかし「DJを当選させることで我々の役割を全うしたい」との「東橋洞(ドンギョドン、DJの自宅があったことから、DJ派の別称)の初心」を守りつつ、慎重を期していれば、ここまで来ることはなかったはずだ。天をつくような権力を誇っていたころ、2人は自分たちがこれほど惨めな境遇になろうなどど、考えたことがあるだろうか。権勢を握った人は、富貴栄華が末永く続くものと考えがちだ。ところが、そうはいかないのが世の中の理であり、歴史の教訓なのである。権力の甘さは束の間で、苦痛は長いという言葉もある。2人は今、権勢の無常さを痛感しているのかもしれない。

宋煐彦(ソン・ヨンオン)論説委員 youngeon@donga.com