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[オピニオン] 新弓

Posted October. 31, 2003 00:41,   

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昨年上映された張芸謀監督の映画「英雄」は、始皇帝の命を狙う刺客たちの話だ。この映画で最も印象的なのは、弓と弩(石弓、古代中国で用いた武器のひとつ)で武装した秦始皇の軍隊だった。列を成した兵が巨大な波のように弓を放つ場面は、2000年前の軍隊とは思えないほど威力的だ。普通の弓に比べてはるかに遠く飛び、「600歩離れても射ることができる」という記録が残っている石弓は、中国が世界で最初に軍隊編制に取り入れたという。

◆弓を射ることでは、韓国民族は中国よりも一枚上手だ。古代中国人が、韓国人に「大きな弓を上手に射る」と感嘆したという話がある。高句麗の詩人である朱蒙も、弓を上手に射るという夫余の言葉「善射者」から由来したという。古代の弓の射る風習は、朝鮮時代まで続いた。弓術は王から一般の武士、文官や庶民に至るまで広く楽しまれ、試験制度で人才選抜の基準として活用されもした。名射手だった22代正祖大王(1752〜1800)は、「私が最近弓術で(50発のところを)49発で止めるのは、すべて命中させないためだ」という言葉を残した。まさに神弓である。

◆国防科学研究所(ADD)が最近開発に成功した携帯用対空ミサイルの名前は「新弓」だ。数回実施した試験射撃で90%以上の命中率を記録したというから、名前通りの実力のようだ。地形の特性上、縦深(軍隊で、最前線から後方に至るまでの縦の線)の短い韓国は、敵の急な来襲に常に備えなければならない。携帯ミサイルの效用価値がそれだけ高いということだ。これまで実戦配置されたフランス製ミストラルは新弓よりも重く、米国製スティンガーは命中率が劣る。来年からこのような外国産兵器に取って代わる韓国の「先端の矢」が、先祖の神弓の伝統を引き継ぐようで心強い。

◆ADDは、70年代に自主国防を追求した朴正熙(パク・チョンヒ)元大統領が建てた韓国兵器開発の総本山だ。地対地ミサイル「白熊」や「玄武」、K1A1戦車、韓国型装甲車K2000、短距離地対空誘導兵器システムの「天馬」などがADDの作品だ。一時、「ADDに納品されるボールペン首都保安」という言葉があったほど、秘密の多い機関でもある。秘密が多いことが悪いことではない。新弓のような新しい兵器開発で国民を喜ばせるのだから。ADD研究室の電気が昼夜を問わず消えない時、自主国防の夢に一歩ずつ近づいているのである。

宋文弘(ソウ・ムンホン)論説委員songmh@donga.com