「鄭夢憲（チョン・モンホン）会長がいらっしゃったので、９月に予定されている平壌（ピョンヤン）の『柳京（ユギョン・平壌の昔の名前）鄭周永（チョン・ジュヨン）体育館』の竣工式は盛大に行われるでしょうね。鄭会長が参加団１０００人と一緒に板門店を通じて北朝鮮入りすれば、１９９８年、父親が牛を連れて訪朝した時よりさらに良いことになるじゃありませんか」
平壌到着初日の先月２８日、北朝鮮側のガイドは、今は故人になった鄭会長に大きな期待を寄せていると話した。鄭会長が２３日から北朝鮮を訪問し、２５日帰還した後だった。平壌市内を車で観光する途中で通りいすぎた体育館はきれいに整理されたまま竣工式を待っていた。
▲総合市場は国営商店の補完用〓韓国との経済協力（経協）に対する期待と不安の中で、北朝鮮は静かに経済改革を進めているように見えた。総合市場は経済改革の象徴。
「以前は松新（ソンシン）農民市場が一番大きかったんですが、これからはもっと大きな市場が現われます。統一（トンイル）通り、光復（クァンボク）通り、文繡（ムンス）通り、楽浪（ナクラン）通り、大聖（デソン）通り、ピョンチョン通りなど、平壌市内に１１の現代式総合市場が建設されています。今年度中に完工すれば、一度お見せします」
この日、総合市場を見せてくれという要請したら、あるガイドが即座でこう約束した。昨年６月と１１月、平壌を訪問した時とはまるで違う姿勢だった。市場は韓国の訪問者が足を踏み入れることのできないところだった。私経済区域の市場が社会主義の矛盾を赤裸々にさらけ出すと考えた北朝鮮の関係者らは、市場の存在そのものを否定したりもしていた。
ガイドは、「総合市場は市場と違い屋根があり、国が物資の取り引きに介入せず、年中常設運営される」と親切に説明してくれた。
国が供給できないモノを完全に市場に任せるという発想は、北朝鮮が進めている経済改革の中核的な要素だ。北朝鮮は社会主義が失敗したため資本主義を取り入れようとしているのではなく、社会主義の問題点を補うためだと主張している。
▲「不動産リモデリング」ブームと人民公債〓平壌を含めて三池淵（サムジヨン）など地方都市では、昨年と違って、建物の新築または改善補修工事がよく見られた。とくに、平壌駅前の栄光（ヨングァン）通りでは大掛かりな補修工事が盛んだった。
不動産開発が活発だというのは、国の経済力が良くなっていることを意味する。あるガイドは、「国が５月１日から人民生活公債を発行するので、住民１人当たり最低２０００ウォンずつ、合計で数百億ウォンを集め、建設事業をはじめ様々な国家財政に当てている」と話した。
先月３０日、平壌で顔を合わせた金ギサム氏（５１、ネナラビデオの職員）は、「妻と共同で３万ウォン分の公債を購入した。今年の１１月に抽選をして一部は当選金を支払うとしているが、国のために自発的に公債を購入したため、対価は望んでいない」と話した。
公債の購買は形式的には自由だ。しかし、国は巨額の公債を購入した人に対して表彰を行ったり、休暇を与えるなど、配慮と篤励をしていることで知られている。
▲電力事情は改善しているものの〓高麗（コリョ）ホテルの屋上から見下ろした平壌の夜景を通じて、電力事情が改善していることが分かった。
平壌駅周辺の鉄道運行も頻繁で、昨年のように主体思想塔のエレベーターが急に止まるようなことはなさそうだ。
「５０００ｋＷ程度の中小型発電所が引き続き建設され、夏の降水量が増えて水力発電量も増加しました。また、７・１経済管理改善措置以後、石炭の生産量が増加し、火力発電量も増加しました」（金ソンイル・民族和解協力汎国民協議会常務委員長）。
しかし、電力難は依然経済回復の足を引っ張っている。北朝鮮の電力生産用量は年間７００万ｋＷだが、設備の老朽化や燃料不足によって、現在の稼働率は２００万ｋＷに止まっている。
▲ユーロとドルの併用使用は不便〓北朝鮮は昨年１０月から米国の経済圧迫に対応し、個人が保管しているドルを国家財政に吸収するための措置として、ドルの代わりにユーロを公式の取り引き外貨と指定した。
しかし、モノの値段とサービスの料金を計算する時の実際為替である１ドル当たり０．８５ユーロの代りに、画一的に１ドル当たり１ユーロの為替レート適用し、ユーロで商品を購入すれば、ドルで支払う時より値段が１５％も高かった。
高麗ホテルのサウナの値段は、昨年９月３ドルだったが、今は３ユーロなのでドルでは３．５ドルを支払うわけだ。これについて、ガイド（３６）は、「米国の経済封鎖によって、ドルに代わってユーロを使うしかない。米国が経済制裁を解除すれば、再びドルを使えるようになるだろう」と話した。
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