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[オピニオン]韓国戦争の正しい教育

Posted June. 22, 2003 21:53,   

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「…一方、北朝鮮では、金日成(キム・イルソン)を総書記とする北朝鮮臨時人民委員会が構成され(1946年2月)、事実上政府の役割を果たした。その後、共産主義支配体制を確固にし、朝鮮民主主義人民共和国が樹立された(48年9月9日)。さらに北朝鮮政権は、韓国を共産化するために武力侵攻を準備し、ついに50年6月25日未明に、38度線全域で侵攻を行った。その後3年間続いた6・25戦争は、我が民族に莫大な被害をもたらした。多くの人が死傷し、全国土が焦土と化し、多くの産業施設が破壊された。さらに、南北間には敵対感情が広がり、分断が固定化した」。教育人的資源部が発行した高校の国史教科書にある6・25戦争に関する記述全文である。

◆5000年の歴史を教科書1冊に圧縮しようとすると、6・25戦争を十分に説明することは難しいかもしれないが、民族が直面している現状況の根本原因があまりにもいい加減に扱われているという考えをぬぐえない。「多くの人が死傷し」という言葉で、100万人の死傷者と300万人の失郷民(故郷が北朝鮮にある人)を出した戦争の残酷さが伝わるだろうか。「南北間には敵対感情が広がった」という言葉で、いまだに韓国社会を精神分裂にさせたあの身震いするような理念闘争が想像できるだろうか。中学校教科書には、むしろ当時の韓国の社会不安や経済困難、戦争初期の敗退、国連の参戦、仁川(インチョン)上陸作戦の成功、中国の介入による後退、ソウル再奪還、休戦交渉などが簡略に叙述されており、戦争の輪郭ぐらいは理解できるようになっている。

◆一方、全国教職員労働組合(全教組)が作ったという「同胞のための統一」という教科書には、6・25戦争を民族和解の立場で教育するという趣旨から、6・25戦争前の韓国は腐敗と葛藤(かっとう)の温床で、北朝鮮は社会主義革命により旧悪が解消された社会として描いている。そして「分断を乗り越えようとする民族の闘い」などの要因から戦争が勃発したとして、誰が戦争を起こしたかは重要ではないとなっている。

◆6・25戦争が勃発してから53年が過ぎ、停戦協定調印50周年が近づいている。韓国は6・25戦争の疲弊から回復し、外面的にはまるで違う国のように発展した。しかし、まだ6・25戦争は「過ぎ去った歴史」ではない。今も韓国社会を分裂させ、韓国人の意識を荒廃させている6・25戦争のかげを取り除くには、新しい世代に6・25戦争を正しく教えなければならない。

徐之文(ソ・ジムン)客員論説委員(高麗大学教授、英文学)jimoon@korea.ac.kr