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[オピニオン]著作権

Posted January. 17, 2003 22:50,   

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作家の趙廷來(チョ・ジョンネ)氏は、「太白(テべク)山脈」「アリラン」「漢江(ハンガン)」など3編の大河小説で、1000万部以上の販売部数を記録した。代表作「太白山脈」は、550万部もの売行きをみせた。趙氏は、一人息子が大学生になった時、「太白山脈」を原稿用紙に書き写す宿題を出した。「太白山脈」の原稿用紙を積み上げると、趙氏の背丈を越えてしまうほどの分量になる。4年前に嫁いできた嫁も、舅(しゅうと)に命じられて「太白山脈」の書き写しをしている。趙氏は、父親の成した知的労働の代価を相続するためには、父がどのような創作の苦しみを経たのか、たとえ1000分の1でも知ってもらうためだと説明する。

◆韓国において、著作権は、著者の死後50年間保護される。死後50年という期間も長いという感じがあるが、米国では1998年、著作権の保護期間を著者の死後70〜95年に延長する法案が成立し、このたび最高裁判所において7対2の採決で合憲の判決が出された。ディズニーの漫画「ミッキーマウス」から、ヘミングウェイの小説「日はまた昇る」に至るまで、数えきれないほどの芸術作品がこの恩恵を受けることになった。米国議会は、著作権の保護期間を、この40年間で11回も延長してきた。1970年に著作権法が初めて施行された時でさえ、死後14年に加えて14年を延長できたにすぎない。

◆著作権(Copyright)の保護が学問と芸術の進歩を妨げるとして、著作権共有運動(Copyleft)を繰り広げている人々は、「約20年後には、議会が著作権の保護期間をさらに延長するはず」だと批判している。著作権を限りなく延長する立法ロビーの背後には、ディズニーのようなメディア企業、映画協会、レコード会社、そして亡くなった著作者の遺族らの存在がある。少数意見を出したスティーブン・ブレアー判事は、20年間延長された著作権料は、本、映画、CDを鑑賞する人々のポケットから出ていると指摘した。例えば、航空会社が1920年代作の映画を客室で上映するために高価な著作権料を支払うことになれば、飛行機運賃の値上がりにつながるしかないというのだ。

◆米国最高裁判所で合憲判決を受けた著作権延長の恩恵は、創作の苦しみを味わった著作者ではなく、祖父の顔すら知らない孫の手に渡るか、あるいはディズニーのような巨大企業をさらに豊かにさせる。米国の制度は、グローバルスタンダードとなって世界中に波及することから、韓国でもいつかは、著作権の保護期間を著者の死後70年に延長しようとの論議がなされる可能性もなくはない。祖父の著作物を書き写したこともない孫たちを豊かにするために、芸術を愛する人たちの懐をいつまでも狙うようなことが、果たして理にかなっているかどうか分からないが…。

黄鎬澤(ファン・ホテク)論説委員 hthwang@donga.com