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[書評]ブッシュの言語障害

Posted January. 17, 2003 22:51,   

한국어

「ブッシュの言語障害」/マーク・クリスピン・ミラー著/金テハン訳/451頁/1万2500ウォン/韓国放送出版

イメージが現実を圧倒している時代において、政治家に対するメディアのイメージ操作は現実政治をわい曲することもある。政治家のイメージは、メディアによって作られ、そのイメージは現実の政治家を置き換えることさえある。

米ニューヨーク大学のメディア学教授である著者は、「資質が足りない」と評価されていたブッシュ氏が大統領に当選し、9・11同時テロという事態に直面して全世界の悪に立ち向かう平和の守護者に浮上するまでの過程を丹念に点検している。その作業を通じて、テレビが世論をミスリードし、自分たちが好む人物像をそれとなく大統領に結び付けるに至った米国社会の現状を告発し、米国国民に現実を正確に直視することを訴えている。この訴えは、すでにメディアの時代に入っている韓国社会にも有効だ。

著者によると、平板で同じ言葉を繰り返し使うブッシュ大統領は、テレビを通じて、むしろ感じたことをありのままに語る平凡で親しみやすい大統領、米国人の気持ちをよく代弁してくれる大統領であるように見せた。著者は、テレビで流れているブッシュ大統領の言語を分析することによって、テレビによって作られたイメージの虚構をあばく。大統領の数々の欠点のうち、適切でない言語使用は、マスコミを通じてもっとも目立つ欠点であるからだ。著者は、ブッシュ大統領の不正確な発音と文法、語彙の選択などを指摘し、酷評している。「近代の大統領の中で誰もが、雄弁と学識の面で、ブッシュよりはましだ」という。著者は、テレビなどで放送されたブッシュ大統領の言葉を比較しながら、ブッシュ氏の「ウソ」も突き止めており、世の中を善と悪で裁くキリスト教原理主義的な性向の持つ危険性にも触れている。

しかし、この本の狙いは、ブッシュ大統領個人をからかったり罵倒したりするところにあるのではない。米国マスコミの大統領作りと9・11テロ以後、マスコミ主導で行われているブッシュ大統領の英雄化傾向を警戒し、米国が追求してきた真の民主主義の回復を唱えているのだ。



金炯瓚  khc@donga.com