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[オピニオン]チッチョリーナとフセイン

[オピニオン]チッチョリーナとフセイン

Posted October. 08, 2002 23:13,   

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男たちによる長い戦争に疲れた交戦国の女性たちが集まった。このうんざりする戦争にけりをつける方法はないだろうか。アテネの賢い女、リュシストラテは「セックス・ストライキ」を提案する。スパルタから来た女、ラムピトも同意した。スパルタの王、メネラオス将軍も、美しいヘレネの胸を見て剣を投げたとして。古代ギリシャの喜劇「リュシストラテ」の一部だ。人間の原初の本能である性欲と、もう一つの本能であることが明らかな戦争への欲との狭間で喜劇的に悩んだ男性の戦士たちは、結局、妻たちに屈服する。戦いを止めて平和条約を締結することになるのだ。

◆2400年前の虚構のなかに登場するリュシストラテは、平和のために性的ストを起こしたが、今度は、実存人物のチッチョリーナが平和のために性を提供すると言い出した。イタリアの元ポルノ俳優で下院議員を経験したチッチョリーナ氏が「世界平和のためなら私自身をフセインに捧げることもできる」と発言したという。もちろん、イラクのサダム・フセイン大統領が、この公開的な性上納誘惑を受け入れるはずもなく、発言した場所もエロ映画祭の席だったというから、聞く側としては笑って片付けてしまえばそれまでのことだ。だが、フセイン大統領の情婦だったと主張している女性によると、彼は性的能力を強化するためによくバイアグラを服用していたというから、分からないものだ。内心では、興味があるのかも。

◆性と暴力、戦争、テロの相関関係は、偉い学者たちも真剣に取り組むテーマだ。オーストラリアの政治学者、デニス・アルトマンは「グローバルセックス」という本で「米国のブッシュ前大統領(現大統領の父親)は、性的能力が低下したあまり、男性の性で、それを補償するためパナマの独裁者マヌエル・ノリエガを攻撃した」という学説を紹介している。攻撃性は、種族の繁殖を図る男性の遺伝子的本能であり、性と女性を規制する時代と社会であるほど、暴力とテロ、戦争の可能性が高まると、この分野に関心のある学者たちは指摘する。実際に戦争が起きると、戦利品や相手国に対する報復手段、または「人種清掃」のために、女性は最も酷くじゅうりんされてきた。

◆元ポルノ俳優の発言ではあるものの、「私の乳は人に害を与えたことが決してない。それに対して、オサマ・ビンラディンとの対テロ戦争は数千人の命を落とした」という彼女の話は、それゆえにいとも意味深長だ。母性と生命、保護の象徴であり、テロとの対象点としての胸を呼び覚ましてくれるからだ。ところが変だ。9・11同時テロの主犯がビンラデンであったかは知らないが、いま対イラク戦争の必要性をとりわけ強調しているのはブッシュ大統領だ。だったら、チッチョリーナが相手を変えて提案をしてみるのはいかがだろうか。

金順徳(キム・スンドク)論説委員 yuri@donga.com